先の記事のつづき、
―ナントカ部長やカントカ部長に栄進した後輩たちからは日ごろ、「竹内さんがうらやましい。ああ、うらやましい」と妬まれてきた。そうだろう、そうだろう、うらやましいだろう……内心、鼻高々でいたのだが、このあいだ中国文学者、高島俊男さんのエッセイを読んでいて少しあわてた。「うらやましい」というのは、相手を傷つけることなく同情の意をあらわそうとする際のあいさつことばなのであった。相手を傷つけまいとするから、自分を相手より低位におこうとする。身をかがめて「あなたは私より高い、うらやましい」とこうなるわけだ。(高島俊男「本が好き、悪口言うのはもっと好き」文春文庫) 十年以上も名刺の肩書きが変わらない境遇を、どうやら同情されてたらしい。―
この高島さん、何度かうちの店にお越し頂きました。この『本が好き…』もバカに面白い本だ。