続 コーヒーカップの耳
10「給食係」
小学校五年生でした。ぼくの家は貧しかったんです。 給食費も遅れがちでした。でも ぼく ええ恰好して いくら自分の好きなものが出ても 自分より人の方を多く盛るようにしてました。ある日 大好物のイチゴジャムが出たんです。ぼく ちょっとだけ ほんの ちょっとだけ 分かるかどうか 分からんぐらい多めに ぼくの皿に盛ってしまったんです。と その時です。「Sちゃんがようけ入れた!」という声が上がったんです。しかもその声が 広がって 教室全体の声になって行ったんです。気がついたらぼく 教室から飛び出してました。それ以降 ぼくは 給食係をすることは 決してありませんでした。
10「給食係」
小学校五年生でした。ぼくの家は貧しかったんです。 給食費も遅れがちでした。でも ぼく ええ恰好して いくら自分の好きなものが出ても 自分より人の方を多く盛るようにしてました。ある日 大好物のイチゴジャムが出たんです。ぼく ちょっとだけ ほんの ちょっとだけ 分かるかどうか 分からんぐらい多めに ぼくの皿に盛ってしまったんです。と その時です。「Sちゃんがようけ入れた!」という声が上がったんです。しかもその声が 広がって 教室全体の声になって行ったんです。気がついたらぼく 教室から飛び出してました。それ以降 ぼくは 給食係をすることは 決してありませんでした。