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曽我部昭美詩集『記憶のカバン』

2015-09-02 14:55:05 | 
早くにお送り頂いていた曽我部昭美詩集『記憶のカバン』をやっと読み終えた。


著者、曽我部昭美さんはわたしより一回り上の1931年のお生まれ。お名前を見て女性かと思ったが「あきよし」さんとお読みする男性だった。

先ず「あとがき」を
 ←クリック。

ということで詩集は三部に分かれていて、「川」「山」「その他」となっている。
通読させて頂いて思うのは、やはり書き慣れておられるということ。安心して読めます。
奇をてらうということもなく、真面目に書かれています。なのでなじみやすい。
 川の部から一篇。巻頭詩、「出会い(川の記憶 一)」より。




懐かしい思いがする。わたしは都会育ちだが、子どもの頃、親の郷里に行き、川で泳いだことが何度かある。その記憶は、もう二度と体験できないものとして強烈に体にしみ込んでいる。川での水泳は海やプールとは全く違う趣がある。それへの郷愁である。
だがしかし、曽我部さんのこの詩には「ダム」が出てくる。強い社会批判がある。読む者もがっかりとさせてしまう。郷愁が強い故に訴える力も強い。

次に山の部から。
「よみがえる声(山の記憶 三)」です。

これは爽やかな詩です。共感もするし、郷愁も呼ぶ。集中では最も好きな詩かも知れません。

もう一篇山の詩。「天王山(山の記憶 五)」


微かにユーモアが漂っていて好感が持てる詩です。

そしてその他の詩から「青いアゲハ」を紹介しましょう。


これは強烈な印象を与える詩です。実に恐ろしく美しい!

この詩集、読み終えて、今の日本の状態を強く考えさせられます。孫の未来が本当に心配。声高に社会批判をしている詩ではないが、腹の底に応えます。
人間よ、賢くなれ!世の指導者よ、特に政治家、本当に人間の未来を考えた政治を心がけてほしい。そんなことを考えさせられました。
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