◇15時17分、パリ行き(2018年 アメリカ 94分)
原題/The 15:17 to Paris
監督/クリント・イーストウッド
出演/ジュディ・グリア ジェナ・フィッシャー P・J・バーン トニー・ヘイル トーマス・レノン
◇2015年8月21日、フランス
その日、乗客554名を乗せたアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリス車内で事件は起こった。
イスラーム過激派の男が銃を乱射したのがそれだ。このとき、テロは実行されたものの乗客の勇気と機転によって防がれ、最低限の被害に収まった。その英雄的行為を果たしたのは、米軍兵士らとかれらの幼馴染だった。かれらは仏政府から勲章を授与されたが、この事件をイーストウッドが映画化した際、主要な登場人物を実際に事件に遭遇して解決に導いた当人たちに演じさせた。
まるで素人に山本五十六以下の海軍士官たちを演じさせた黒澤明みたいじゃないかっておもったりもするが、ともかくもその人々が米兵スペンサー・ストーン、米兵アレク・スカラトス、米大学生アンソニー・サドラー、大学教授マーク・ムーガリアン、妻イザベラ・リサチャー・ムーガリアン、そして英会社員クリス・ノーマンってことになる。演じさせたイーストウッドもたいしたものだけど、かれらはもっとたいしたものだ。
ちなみに、このとき、仏俳優ジャン=ユーグ・アングラードもタリスに乗り合わせていて、警報機を鳴らそうとしてガラスを叩き割り負傷したそうなんだけど、どうやら出演しなかったようだ。なんでかは、知らない。いずれにしても、イーストウッドは実話の映像化が好きみたいね。なんでだろうね。自分が出てないときは、実話を持ってきたいのかしら。
ただ、まあ、原作もあったりして物語がどうしても米兵と大学生の3人の物語になってるからか、幼い頃の描写にかなりの部分が割かれてる。これがちょいと辛いな。はらはらどきどきのサスペンスになるはずが、かなり気が削がれる。
暴走機関車じゃないけど、タリスにたまたま乗り合わせちゃったっていうところから始まらないと。黒澤明なら、もちろんそうしただろう。そしたら、ジャン=ユーグ・アングラードも出番があったとおもうんだよね、きっと。