◇父と暮せば(2004年 日本 99分)
監督/黒木和雄 音楽/松村禎三
出演/宮沢りえ 原田芳雄 浅野忠信
◇物語は舞台そのまま
ほとんど井上ひさしの原作と同じだそうで、浅野忠信が生身で登場するかどうか、図書館が実際の場面になるかどうかってくらいの違いらしい。ちなみに旧市街はCG処理だそうだけれども、でも、それって映画にする必要があったのかどうか。なんだかね、もうひと工夫あってもよさそうな気がするんだけどな。
それにしても、この国民はとんだ悲劇を背負ってしまったものだとつくづくおもう。
ぼくは、原爆の投下は誰がどんな理屈をならべて説明してくれたところでそれはアメリカというか白人のいいわけに過ぎず、日本人を黄色い猿か虫けらとしかおもっていなかったからこそ、広島と長崎の大虐殺ができたとおもってるし、それを撤回するようなことはない。もっとも、米軍による大虐殺は広島と長崎のみならず、東京大空襲もそれに匹敵するんだけどね。ま、こんなことはここでは余計な話か。
宮沢りえも原田芳雄も芸達者だから舞台劇のような演出でも見られるんだけど、でもやっぱり物足りなさはぬぐいきれない。で、これはなんでなんだって考えないといけない。予算だろう。映画会社が原爆の映画に巨大な資金を負担することはほぼない。テレビ局などの媒体もそうだろう。この作品と対になる『母と暮らせば』は、稀有な例だ。ただおもうんだけど、なんでまっこうから原爆の話にしないといけないのかな。別な観点があってもいいよねっておもったりもするんだよね。