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銃殺

2024年11月10日 03時05分47秒 | 邦画1961~1970年

 ◎銃殺(1964)

 

 菊の御紋を戴いた厳しい扉を開けて、丹波哲郎演じる相澤三郎の永田鉄山暗殺事件から始まり、この扉が丹波さんがやってくると閉じ、タイトルが被さり、また開くと、陸軍練兵場になってる。うわ、最初から合成じゃん。

 青年将校の会議で、こう意見が出る。

「軍隊を使用して直接行動に出るのは、陛下ご自身が、重臣元老を斬らねばならないとお考えになったときだけ許されるべきだ。わたしには陛下がそうお考えになっているとはおもえないのだ」

 しかしこれは否定され、うやむやになる。

 将校鶴田浩二は牛鍋をつつきながらいう。

「ここ2、3年、どん底の生活苦に喘いでいる農民や労働者の家庭では、一家の働き手を兵隊にとられて自分の娘を売らなきゃならない悲惨な親もある。その一方、兵隊の中には自分の貰った慰問袋をそっくり家(うち)に送っている者もいるんだ。こんな現状の中から強い兵隊ができるとおもうか。士官学校時代は考えてもみなかったし、それに直面した現代だって、どえしてやることもできない。しかも、いったん戦争になれば、その兵隊たちを弾の中に突撃させる。それが将校なんだ」

 昭和維新、昭和維新と血気に逸る青年将校たちはなにがしたかったんだろう。そのひとり、 江原真二郎、ここでも栗林役だ。まあそれはいいとして鶴田浩二の見逃してやった脱走兵が、病の母親と吉原に身売りすることになっていた妹を殺して首をくくる。その焼香に訪れた鶴田浩二と井川比佐志に農民の女がいう。

「中隊長さま。息子を兵隊に出すのも、娘が身売りするのも、みんな、お国のためでございましょうか?」

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