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東京オリンピック

2024年11月12日 16時44分58秒 | 邦画1961~1970年

 ☆東京オリンピック(1964)

 

 オリンピックは人類の持っている夢のあらわれである。

 という字幕が消えるや日輪のアップ、そしてそれと二重写しとなるように巨大な鉄球が映し出され、戦争に翻弄されたオリンピックの開催年が詠み上げられ、古めかしいビルが叩き壊され、代々木公園、体育館、国立競技場が完成し、望遠レンズで撮られたクルマとヒトとコンクリートがきゅうぎゅうに密集された東京の街にメインタイトルが重なる。そしてオリンポスの丘から始まる聖火ランナーのリレーに沿ってアジアの各地が映し出され、日本の最初は沖縄のひめゆりの塔。本州に入れば広島の原爆ドームに空撮で入り、平和公園で日の丸の小旗をふって出迎える人々のまんなかを抜け、京都の古道を、霊峰富士の裾野を聖火ランナーがゆく。開会式に登場する各国は、キューバ以外の国はあらかた隊列や足並みをそろえている。聖火が点灯されるときはもう列は乱れて選手はばらばらになって喝采を送っている。これだけでもう市川崑のいわんとすことがわかるような気になる。スローモーションが、実に良い。走る前、投げる前の緊張感がひしひしと伝わる。そして閉会式。緊張感はなくなり、解放感だけが湧き上がる。戦争が終わった光景をおもいだした。字幕が掲げられる。市川崑の言葉だろう。

「夜

 聖火は太陽へ帰った

 人類は4年ごとに夢をみる

 この創られた平和を夢で終わらせていいのであろうか」

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