とにかく冬の緊張感が緩んだのか、アチキは朝寝坊した。春が近い。
お昼を食べに街へ出て、いつもの小樽公園を散歩しながら最後の冬の情景を探していた。まだ雪がタップリ残る地獄坂の吹きだまりを通過すると、いつもの定点観測スポットだ。それはかって民家が建っていた空地であり、アチキが勝手にスケッチのポイントにしている。ここからなら樹木を避けて海が見えるから。描き終える頃に中学校のチャイムがなり小春がやってきた。
「オオッ!、バスケですこしはスマートになったかい?」
小春「うーーん、毎日鏡でボディチェックしているんだけど・・・、お肉つまんだり、身体の姿勢を変えてみたり・・・、だけどあんまり変わんないなぁ・・・」
「そんなすぐに効果は出ないでしょうよ」
小春「このままだと美希姉ちゃんみたいに、ヤリマンボディだよーーん」
「じゃあダイエット食。でも育ち盛りのボディだから必要ないかぁー・・」
小春「牡蠣、アボガド、オクラ、ショウガ・・それにブロッコリーかなあ?」
「うん!、それ男の精力源ばかりじゃん。それじゃあ痩せないかも・・・」
小春「ユウ君に食べさせているの!。これじゃあダメかなぁー?」
「皮がない鶏胸肉でタンパク質を取り、魚、豆腐、トマト、キュウリ、ブルーベリーかなぁー!?」
小春「二つをミックスすればいいか。ええーっと、牡蠣に鶏胸肉で、どんな料理ができるかなぁー?」
「治部煮かなぁー。味付けは白だしで片栗粉をまぶして煮るのがある。あとは牡蠣と鶏肉のバルサミコソテー。ソテーだから片栗粉をまぶして焼くんだろうな・・・」
小春「OK、それ作ろう。サンクス・・・・、今日は部活がないから買い出しにゆこうよ!!」
「精力付けとダイエットを同時にする!?、そんなメニューがあるかぁーーー」
そんなわけで小春と精力をつけるためとダイエットという相反するメニューのために入船交差点の生協へでかけていった。
入船通りの坂道もまだ雪が残る季節である。
・・・・
今日の小樽は雪がやんでいる。
春の臭いがするかもしれない。