Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング697. 小説:小樽の翠621.  ハコダテホンセン

2023年03月02日 | field work

 翌朝、青森は青空が広がった。kikiも子供と一緒に古川市場までついてきた。寒くても人付き合いの良いフィリピーナだ。
 古川市場でおにぎりとおでんと粕汁だ。通路に出ている小さなテーブルがを囲んで。
kiki「おおっ、粕汁が旨い。うちの亭主もこんなところで食べるのが好きなんだよ。不思議な日本人!!」
「アチキも好きですよ。粕汁に雪が舞い込むなんて風情があってよいさ」
kiki「フゼイ!?・・・、雪入スープが!?」
リュウ君「さて、飛行機で帰る?、鉄道で帰る?」
「鉄道!、長万部からハコダテホンセンに乗りたい」
リュウ君「オオッ、景色は素晴らしいけど・・・列車があったかなあ?」
「1本だけ小樽行きの各駅停車がある。長万部16時38分発、小樽着19時50分、翠は迎えに来ないが(*^▽^*)」
kiki「モ・ノ・ズ・キー・・・、飛行機なら1時間で札幌につくよーー」
リュウ君「北海道の列車はみんな二重窓だし客室とコンパートメントは間仕切り壁で仕切られているから、そんなに寒いわけではないよ。それに新幹線が出来たら小樽-長万部のハコダテホンセンは廃止されるからね。だからその前に景色が良いところを見るなら、今しかないかぁー」
「はい!、帰りは旅です。といっても夕暮れをみるぐらいかな。後は夜だよ。乗れば終点小樽だから寝てゆけるよ」
そう言い置いてゆこうとしたらリュウ君は、車で新青森の駅へ送ってくれた。
リュウ君「誰も乗らない鈍行で道中お気をつけてぇーーー」
寒風でリュウ君の声も途切れがちだ。
・・・
新函館で特急に乗り換えて長万部。
それから鈍行の旅。
ニセコアンヌブリが夕焼け空に映えている。
たった1両の気動車は、マイペースで小樽を目指している。
時折高校生が乗り降りするけど、車内はアチキぐらいしかいない。
コメント
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