ジャズ・メッセンジャーズのライブに欠かせない「モーニン」は何度も録音されているが、なかでも58年のクラブ・サンジェルマンの演奏は「モーニン・ウイズ・ヘイゼル」として知られている。最前列にいた歌手でありピアニストのヘイゼル・スコットが、ボビー・ティモンズのソロに興奮して騒ぎ出し、ついには感極まって「Oh Lord have mercy!」と叫んだのが記録されているからだ。文献によっては失神したとも記述されているが、その後も騒いでる女性がいるので真偽は定かではない。
さて、もっぱらこのエピソードだけがひとり歩きするお騒がせのヘイゼル・スコットとは何者か?5歳で舞台に立ち、1936年の16歳のときに自己のラジオ番組を持っていたほどの才媛である。数本の映画にも出演したというマルチタレントで、レコードも相当数の録音があるようだが、ほとんどがクラシック曲をジャズ風にアレンジした作品のため日本では紹介されずに終わっている。唯一ジャズファンに注目されたのは、「リラックスド・ピアノ・ムーズ」だろうか。チャーリー・ミンガスが興したデビュー・レコードに54年に吹き込まれたアルバムで、サイドにミンガスとマックス・ローチという豪華版だ。
A面の最初は音を探すようゆっくりとしたテンポで、「ライク・サムワン・イン・ラブ」のメロディを無伴奏ソロで紡いでゆく。2コーラスほど弾いたあたりで歌いだしても何ら違和感のない歌心溢れたフレーズ展開に持っていき、そのタイミングで、これがミンガスとローチかい?と疑うほど控え目なベースとドラムが入る。続く2曲もお淑やかなお嬢さんと、陰で目立たぬようにサポートするボディガードのピアノ・トリオを聴くようだ。但しこれはA面だけで、B面は一転していつもの怒れるミンガスと歌うローチになり、ヘイゼルのピアノも女性とは思えないハードなタッチに変貌し、唸るわ、イエーッと声を出すわで、騒ぐのが好きという本性がこのレコードを面白くしている。
ヘイゼルは50年代後半にフランスに渡っているが、おそらくケニー・クラークやバド・パウエルと同じ理由なのだろう。待遇の良いヨーロッパでは物理的に満ち足りても、精神的には満たされないという。サンジェルマンで聴いたメッセンジャーズは、ミンガスやローチと演奏したアメリカに重ね、ティモンズのソロは、その精神的空洞を埋め、高揚させる本物のジャズだった。「Oh Lord have mercy!」は精神が満たされた叫びなのかもしれない。
さて、もっぱらこのエピソードだけがひとり歩きするお騒がせのヘイゼル・スコットとは何者か?5歳で舞台に立ち、1936年の16歳のときに自己のラジオ番組を持っていたほどの才媛である。数本の映画にも出演したというマルチタレントで、レコードも相当数の録音があるようだが、ほとんどがクラシック曲をジャズ風にアレンジした作品のため日本では紹介されずに終わっている。唯一ジャズファンに注目されたのは、「リラックスド・ピアノ・ムーズ」だろうか。チャーリー・ミンガスが興したデビュー・レコードに54年に吹き込まれたアルバムで、サイドにミンガスとマックス・ローチという豪華版だ。
A面の最初は音を探すようゆっくりとしたテンポで、「ライク・サムワン・イン・ラブ」のメロディを無伴奏ソロで紡いでゆく。2コーラスほど弾いたあたりで歌いだしても何ら違和感のない歌心溢れたフレーズ展開に持っていき、そのタイミングで、これがミンガスとローチかい?と疑うほど控え目なベースとドラムが入る。続く2曲もお淑やかなお嬢さんと、陰で目立たぬようにサポートするボディガードのピアノ・トリオを聴くようだ。但しこれはA面だけで、B面は一転していつもの怒れるミンガスと歌うローチになり、ヘイゼルのピアノも女性とは思えないハードなタッチに変貌し、唸るわ、イエーッと声を出すわで、騒ぐのが好きという本性がこのレコードを面白くしている。
ヘイゼルは50年代後半にフランスに渡っているが、おそらくケニー・クラークやバド・パウエルと同じ理由なのだろう。待遇の良いヨーロッパでは物理的に満ち足りても、精神的には満たされないという。サンジェルマンで聴いたメッセンジャーズは、ミンガスやローチと演奏したアメリカに重ね、ティモンズのソロは、その精神的空洞を埋め、高揚させる本物のジャズだった。「Oh Lord have mercy!」は精神が満たされた叫びなのかもしれない。
ジミー・ヴァン・ヒューゼンは多くの曲を書いておりますが、なかでも「ライク・サムワン・イン・ラブ」はそのメロディの美しさからヴォーカル、インストとも多くの録音があります。今週はピアノでお好みの「ライク・サムワン・イン・ラブ」をお寄せください。
管理人 Like Someone In Love Piano Best 3
Bud Powell / At the Golden Circle Vol.2 (Steeple Chase)
Mal Waldron / Mal 4 (Prestige)
Hampton Hawes / Four (Contemporary)
エヴァンス、ピーターソン、エルモ・ホープ等々名演が揃っておりますので誰が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
Like Someone In Love、大好きな曲です。
最初に聴いたのは、ブレイキーだったと思います。
お気に入りは、
Swingin' With Bud/Bud Powell(RCA)
51年までのパウエルは、天才。それ以降をどう評価するかは難しい。(マッセイホールは別)
ジョージ・デュヴィヴィェ、アート・テイラーと言う理解者と共演している本作を挙げたい。
Mai 4/Mal Waidron
黒く重たく弾く、マルのライク・サムワン・・・好きだ!
Profile/Duke Pearson(BN)
私が主催する「ジャズ鑑賞会」でとりあげた一枚!
悪いはずがない!(笑)
大好きな曲でしたか。私も最初に聴いたのはブレイキーですが、すっかりこのメロディには魅せられました。
トップはパウエルでも57年の「Swingin' With Bud」が挙がりましたか。この録音にしても私が挙げた62年のゴールデン・サークルにしても心身は万全ではありませんが、心打つ演奏です。
2番目のマルは同じ選出ですね。マルはレフトアローンやオールアローンばかりが話題になりますが、このアルバムはマルの真骨頂が記録されておりますので広く聴いてほしいですね。
そして、デューク・ピアソンがありましたか。今回再聴するのを忘れておりました。どうにもこのアルバム、「タブー」の印象が強いものですから、タブーには触れないことにしております。(笑)
この曲は、ホーンが入った演奏も多いですよね.
ルーキーですので一曲だけ・・・・・
Profile / Duke Pearson(Blue Note)
それまで、なぜか聴かず嫌いだった Duke Pearson でしたが、このアルバムを聴いてから好きになりました.
この曲はビッグバンドはもとよりホーン編成、ピアノトリオ、ソロ、どのような演奏形態でも映える曲です。
KAMI さんがピアソンを挙げられましたので慌てて聴き返しましたが、編曲も巧みなピアソンのテーマの処理は上手いですね。Duke の名に恥じない演奏でしょう。
この曲のピアノ・ヴァージョンは、個人的には
乾いた感じの硬質なものが好みです。
ジャマルのブラックホークでのライブと、
Introducing Paul Bley あたり。
ピアソンも、いいですね。
ヘイゼル・スコットは、
「Great Scott !」という、Columbia の10吋盤を
持っています。
実は、一年近く前に買ったきり、まだ聴いていません(笑
この曲は大好きなので出てきました。
5スポットのドルフィーを一番に思い浮かべます。 ドルフィーは素晴らしい。
ピアノものと言うことで・・
Bud Powell / Jazz Original (Norgran)
僕はこの盤で・・名曲満載ですがやっぱりパウエルはいいですね。
Roland Hanna /Easy To Love(Atoco)
休日の午前中によく聴くレコードです。 ベン・タッカーのベースも良いです。
Paul Bley /Introducing (Debut)
ミンガス絡みで買いましたがなかなかです、愛聴してます。 お相手がミンガスとブレーキーですからね、若きポール・ブレイも緊張したでしょう。
ジャマルのブラックホークもいいですね。おっしゃる乾いた感じがします。マイルスが求めたのはこのドライなのかもしれません。ポール・ブレイも初期のころは硬質な音でした。
「Great Scott !」は知りませんが、Columbia の10吋盤とは珍しいものをお持ちですね。おそらく50年代の録音と思われますが、騒いでいるかも知れませんよ。合間に入る金切り声の唸りは悪くありません。これが連続すると誰かのように聴くに耐えないものになります。(笑)
管楽器で挙げるなら私もドルフィーです。5スポットはファイアワルツをはじめどの曲も名演ですね。
パウエルの「Jazz Original」のタイトルは持っておりませんが、Powell '57に収録されている音源かと思われます。録音は54年ですが、この時期としては比較的安定した好演です。
ローランド・ハナがありましたね。休日の午前中に聴かれるのは、午後からジャケのようなハナのある女性との出会いを期待しているからでしょうか。私がファーマーのスエーデンを取り出すようなものですね。私はジャケを眺めるだけです。(笑)
>若きポール・ブレイも緊張したでしょう
「サンタ」はスタジオの貸し時間が迫っていたため、立ったまま弾いたといわれておりますが、実は緊張のあまりトイレに行くのも迫っていたのです。録音の途中でトイレに立とうものならミンガスに「無礼者」と怒鳴られたことでしょう。(笑)
>Roland Hanna /Easy To Love(Atoco)
休日の午前中によく聴くレコードです。
ベン・タッカーのベースも良いです。
ああ、これがありましたか、忘れてました。
久々に引っ張り出して聴いてみましたが、
いつ聴いてもスインギーで、いいですね。
ベン・タッカーのベース、確かになかなか強靭です。
タッカーは50年代のアート・ペッパーのコンボでの
ベーシストとしてのイメージが強く、そうなると勢い
Meets The Rhythm Section のチェンバースと比較することになり、
割を食って気の毒に思います。
渡米した弘田三枝子さんに、数ヶ月間レッスンを
したそうです。
かつてエラも、(当時の)旦那のレイ・ブラウンに
手ほどきをうけたそうですから、ヴォーカリストの
レッスン相手としてベーシストは最適なんでしょうか?