2024/4/8
・松尾芭蕉と弟子の曾良が川の渡し守のところで、訳あり気な女と舟守と子供に出会う話。
・「奥の細道」ではなく、能の「隅田川」がベース。
・能という伝統芸能の敷居の高さはいったん脇に置いて素直に会話が楽しい。
・ライターの貸し借りだけでひと笑いある。
・舟守のところに自分が行くか弟子に行かせるか二人でいくかという、どうでもいいやり取りがおもしろい。
・物腰のやわらかな芭蕉になごむ。
・曾良は無自覚に失礼な人だと見ていたけど、女性と話す時はちゃんとしている。
・アレンジは現代劇風。服装や小道具、言葉遣いや会話も現代人どうしのやり取りに聞こえる。曾良が黒のダウンジャケットを着ている。
・「ご当地俳句読み倒れツアー」。
・時代感があるのは、川の船着き場みたいな場所だけ。
・舞台はモノクロ。きわめてシンプル。
・映像でも奥の黒い壁と床の白いパネルが地平線のように画面を二分している。美しい。
・登場人物の動きもシンプル。各人の動きよりも配置のほうが重要に見える。様式的で引き算の表現。
・二組に分かれてそれぞれで会話するところ、一組が会話を始めると、もう一組はストップモーションになる。
・時空が多層的になっている表現なのかな。どういうルールなんだろう。
・シンプルでも、立ち方歩き方がきれいで、かなり身体表現の訓練をされた人のそれに見える。
・登場人物の服装は黒い人が三人、白い人が一人、半分が一人。何か意味があるのかな。
・そのシンプルさが能っぽいと感じたけど、本当にそれが能に基づくものなのかはよくわからない。
・アトムが出てくると時間軸が良くわからなくなる。能と比べればはるかに現代なのに古めに感じる。
・境遇は似ていたとしても、なんでわざわざアトムと天馬博士にしたんだろう。
・能の隅田川と同じく、伊勢物語の「名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふひとはありやなしやと」が引用されている。漱石の話も出てくる。
・既存の作品の組み合わせる効果がうまく読み取れず、どういう意図だったのかしばらく考えてしまいそう。
(U-NEXT)