2024/4/26
・東京から東北の寄生虫研究室に異動してきた研究者とその妻が、環境の変化に対して正反対の反応をしてしまう話。
・会話はほとんどが津軽弁と福島弁、そして標準語。
・おそらく俳優さんのほとんどはネイティブではないので、方言指導を経て、上演に臨んでいる。
・聞いていて言葉の区別や練度がわかるわけじゃないけど、会話のリズムはよく、緊張感を損なわず聴き続けることができた。
・文字にすると意味の分からないようなフィラー的な声を自然に差し込んでいる。
・話にわかりやすい起伏が少ない平田オリザ戯曲では、会話の精度が一番大事。
・個人的に好きでたまに目にしている生き物情報がなぜかハマって心を見透かされた気分になる。
・レイコクロリディウムとかフタゴムシとか。カタツムリは見た目がかなりグロテスクになるので、舞台上で鮮明な映像を出したらダメだったと思う。楽しいけど。
・寄生虫と宿主から、寄生する寄生されるの関係性を、夫と妻、東京と地方、専門家と一般人、親と子供など、異なる複数の組合せに重ねている。
・専業主婦というキーワードひとつ取っても、どっちが寄生しているのかは見方次第。
・あわせて寄生虫という言葉が、一般的に言われるようなネガティブな意味を持つのかどうかも問われる。
・どんなにネガティブなことでも、研究者が新しい発見に喜んでしまうのは仕方ないことだと思う。
・対象を好きかどうかと研究の成果はたぶん直結する。
・例えば、人の体を切るのが好きな医者と嫌いな医者でどちらが外科医として信用できるかは微妙なところ。
・お話は常に平熱で進行する。
・奥さんがぴりっとしたことを言っても、現実がそうであるように、その場は受け流して何なら場を和ませようとしたりする人たち。
・舞台上に起きていることは静かなのに、水面下では色んな関係や感情がドロドロと溶けているような感じ。現実の反映としてとても正しい作品だった。
・奥さんは嫌いな寄生虫の講義を受けているし、夫も歩み寄りを見せたし、たぶんあのあとしっかり話すんだろうなと少しだけポジティブな気持ちで終われた。
(ターミナルプラザことにパトス 4/26 15時の回)