ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

「どちらでもない私」の存在について

2017-04-05 13:52:53 | ワークショップの報告


がねてぃのワークショップについて、忘れないうちに書いておきます。

「できそうにもないことをやってみる会」第5弾
絵本の中で遊ぶ


広い和室の中に白い布を10メートルぐらい張り巡らす会場設営から始まりました。
『スイミー』の画像が白い布上に映されています。

初参加、ドラマ的なワークショップは初めてという人も三分の一ぐらいはいる状況の中で
自己紹介も何もなし
司会の私ががねてぃにバトンタッチするや否や
音楽が流れ、がねてぃのナレーション「海には様々な生き物がいます」うんぬん

そして「みなさんは海の中の生き物になって自己紹介してください」

私は「ふうみんです。私はカニです。みなさん、カニといえば横に歩くと思っておられるかもしれませんが、私は前に歩きます。(ここでみんなの笑い)
私は赤くはありません。青い色をしてます。
多分、私の住んでいるのは沖縄の海です」と自己紹介。

実際に沖縄で見たカニを思い出しながら話しました。

みんなの自己紹介が終わると、「海にいる生き物をつくってください」といわれました。
それを布にライトで映すのだと。

私は青いセロハンをつかって、カニをつくりました。
へにゃへにゃと扱いづらいので、それを厚手のビニール袋に挟み込みました。
実際に映してみると、青のセロハンではボケてしまって、はっきりしません。
それでハサミや胴体に赤マジックで輪郭や模様を入れました。

自分の作品づくりに夢中で、他の人が何をしているかあまり関心がなかったのですが、
そこまでくるともうつくるのに飽きてしまって、他の人のつくるものを見ていました。
特に真珠貝に興味をひかれました。

だいたいの人が何かをつくったところで
「これから絵を映してお話をします。お話が終わったところで、みなさんに登場してもらって好きに遊んでください。映している途中で何かしたくなったら好きに動いてもらってかまいません」
と告げられ、スイミーの絵本のお話が進んでいきました。
深い海の底のような、眠たくなるような繰り返しの音楽が流れています。

ひとつの絵が、かなり長い時間映されています。そのうち、その画面を使って遊ぶ人が現れました。
タコのようなのや、イルカ、クラゲ、水草、訳の分からないフワフワしたもの、いろいろなものが登場しました。
私もその動きにつられて動いたりしていましたが、もっぱらライトをもって後ろからついて行くという感じでした。この仕事はかなり気に入りました。

自分のカニを出すタイミングがうまくつかめず、絵をみていると「今じゃない」と思え
とうとう最後になってしまい、今出さないとチャンスはないと思い
ようやくカニを登場させることができました。
真珠貝が登場しないことが気になりました。

そして「終わります」。

この間2時間。私にはあっという間でした。

その後、ふりかえり。
「遊びきった」「おもしろかった」という人と「のれなかった」という人と。

「できそうにもない会」のおもしろいところは、こういう率直な感想が語られること。

私には絶対できないワークショップだと思いました。
私なら、「のれない」人ができるだけないように、表現しやすい場づくりをまず考えるでしょう。
ステップを踏むということを考えるはずです。

でもがねてぃはあえてそうしなかったと。

「のれない」というのも大事だ
今のれなくても、あの時のれなかった自分に何か気づくかもしれない
自分で気づくのが大事で、それに何か手助けをして少しの満足(納得)をえることは
かえって良くない
人生は自分で切り開かなくてはいけないのだから

文字通りそういったわけではないけれど、私はがねてぃの思いをそう取りました。

遊びに参加するのか、見ているのか
「参加する」「見ている」と決めたらその枠でいられる
枠から、はみ出ない
「参加したい、でも出られない」「参加したくない、でも見てるだけでいいのか」
そんな不安定さに自分が立つということが、自分の境界を越えるために必要なのでは?

そういう問いかけをもらった気がします。

終了後、居酒屋へ。ここで初めて自己紹介。
多様な方が来られていました。
話が尽きませんでした。
「深い」と思いました。

私自身は、面白かったかと言うと、やりながら「面白い」とも「面白くない」とも思っていませんでした。
でも絶えずその状況に引き込まれていた気がします。
そこにできた空間を楽しんでいたと思います。
だから時間がたつのは早かったです。

ついでなので「できそうにもないことをやってみる会」について少し書いておきます。

ゆりさんと、ひこさんの授業を見に行ったのが発端です。
その後3人で食事をする機会がありました。
「即興で物語をつくるというはできるんやけど、即興で音楽をつくるというのが授業でなかなかできない」というひこさんの話を受けて
「できそうにもないことをやってみるって面白いんじゃない?」とゆりさん。
「面白い!」と野次馬の私。

第1回 2015年12月6日(日)13時30分から 「即興音楽で遊んでみる」ひこさん 立命館大学茨木キャンパス 24名
第2回 2016年3月5日(土)13時30分から 「しゃべらないをやってみる」かぜのすけ コンソーシアム京都第一講習室 8名
第3回 2016年8月15日(月)10時から 「台本のない芝居をつくる」いしい先生 追手門学院高等学校 20名
第4回 2016年12月11日(日)13時から 「即興ダンスを遊んでみる」こいちゃん・しずちゃん かぜのね 8名
第5回 2017年4月1日(日)13時30分から 「絵本の中で遊んでみる」がねてぃ 山科アスニー 15名
次回のファシリテーターはみいちゃんと決まりました。
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