「江戸しぐさ」と言うのが見直されています。
江戸の町は、18世紀にはその人口140万人に達し、当時世界最大の都市となっていました。
江戸の市街地の大半は武家屋敷に多く占められ、江戸の人口の大半を占める町民は限られた地域にひしめき合って、町民の人口密度は現在の3倍に達した地域もあったようです。
江戸の庶民は、このような環境の中「江戸しぐさ」と呼ばれる相手を思いやることを第一義としました。
そこには、自分を磨き、相手を尊重すること、身分や血筋、門閥にとらわれず、自由な発想が出来る人間を「江戸っ子」として認めたのです。
江戸時代という封建制の中にあっても、それに拘束されない、自由人たる江戸っ子の生き様が、今もそれを必要としています。
「江戸しぐさ」の一つ、「傘かしげ」 雨のしずくがかからないように、傘を傾げあ
って気配りをして往来するしぐさ イラストは伊藤美樹さんのを借用しました。
「三つ心、六つしつけ、九つ言葉、十二文、十五理で、末決まる」
これは、江戸庶民が子供の教育に使った言葉です。
三歳までに素直な心を、六歳になると振る舞いに節度をもたせ、九歳では人前でも恥ずかしくない言葉使いを覚えさせ、十二歳できちんとした文章が書けるようにさせ、十五歳にもなると物の道理が分かるようにしなくてはならないというものです。
この「教え」は現代にも通用する「教育論」です。