

単行本「捧げる 灰野敬二の世界」のディスコグラフィ・活動記録の重要な情報源にしたアメリカの灰野敬二サイトAn Unofficial Keiji Haino Websiteの管理人デヴィッド・ケファーから航空便が届いた。デヴィッドは灰野本に掲載のヒグチヒケイコ「愛・魔術・勇気 世界から見たKeiji Haino」に4ページに亘る寄稿文を寄せている。彼がサイトを始めたのは1995年12月。当時はミネソタ大学の学生だったため「アメリカの学生による灰野サイト」と紹介されずっと学生の姿をイメージしていたのだが、当然とっくに卒業・就職して家庭を持っている。化学博士号を持ち現在テネシー大学で教鞭を取ると共に文学を学び数々の小説や詩集を執筆している。前衛音楽への探求も怠らず、講師として音楽クラスも開講している。
▼講義「非イディオマティック・インプロヴィゼーションの黄金期」紹介ビデオ
前衛音楽をお子様向けに描いた秀逸な動画も制作している。
▼デレク・ベイリー&灰野敬二
▼ハンス・ライヒェル
灰野さん関連資料でも送ってきたかと思ったら絵本だった。彼が主宰する出版社The Poison Pie Publishing Houseの発行である。「Tales of the Mushroom People(キノコ人間の物語)」「Tales of the Mushroom People II:Call of Cthulhushroom(キノコ人間の物語2:クトゥルフダケの呼び声)」の2冊。作者クレジットはケファー・ファミリーとなっている。デヴィッドと奥さんと二人のお子さんの共作である。ビデオに登場する指人形のキノコ人間キャラクターが第1巻では韓国、第2巻ではテネシーの風景の中で活躍するストーリーで平易な英語で読み易いし英語が判らなくても写真だけでも楽しめる。
▼紹介ビデオ。出演は彼の実の息子さん
デヴィッドの最新作は「The Sutra of Reverse Possession: A Novel of Non-Idiomatic Improvisation(所有逆転の教典:非イディオマティック・インプロヴィゼーション小説)」。簡単に記せば人生の意味を探す主人公が様々な体験を経て悟りに接近するというストーリーで、主人公の冒険の即興的展開と共に、ストーリー案を用意せず筆の向くまま書き連ねるという執筆方法にも非イディオマティックな即興性を取り入れたという。デレク・ベイリーの著書「インプロヴィゼーション」で論じられる非イディオマティック・インプロヴィゼーションの難解な概念を判り易く噛み砕いた画期的小説である。
The Poison Pie Publishing Houseの作品のいくつかはamazonでキンドル版が購入できる。キノコ人間の絵本はないがPoison Pie Publishing House Shopで電子版が無料閲覧可能、YouTubeにも音声付き動画あり。
キノコ=ジョン・ケージ
キノコ=マリアンヌ東雲
キノコ=灰野敬二?
どこかの出版社が日本語版を出してくれないだろうか?
加藤さん、如何ですか?