彼女のことを知ったのは音楽サイト「Weekend In The City」掲載のBO NINGENのTaigen Kawabeの2012 Best Albumsだった。彼はももクロをブレイク前から大好きだと公言しており、当時アイドルにまったく興味のなかった私は「サイケとか言っても彼もやっぱりタダの男か」と醒めた目で見ていたのだが、ご存知のようにももクロは今年大ブレイク。自分自身もアイドルショックを経験し改めてTaigenの感性の鋭さに舌を巻いた。
そんなTaigenの今年のベスト10、1位のきゃりーぱみゅぱみゅに激しく同意しつつアイドルとテクノ/エレクトロニカが並ぶ嗅覚に感心しながら見ていて7位の未知のアーティストが気になった。その名もいずこねこ。
” アイドル・ソングに現代音楽の要素がこんな風にぶち込めるとは思えなかった! 周りの友人に「来年は『いずこねこ』が来る!」と風評してます。にゃんにゃん。”(Taigen Kawabeのコメント)。
アイドル、現代音楽、猫というこのブログのテーマを網羅したアーティスト!足りないのは灰野さんだけ!早速YouTubeでチェックしたのが「rainy irony」。四つ打ちビートだが上音が完全なポストロック。何よりも起伏のないメロディーの無機的なヴォーカルの浮遊感はまるでツジコノリコ。
し・か・し!!! 何とサビがアイドルコール!!!
SAY!にゃんにゃんにゃん!
いずこねこ『rainy irony』PV
コレは一体何?音響系?テクノ?クラフトワーク?ノイ?ビョーク?ポーティスヘッド?と思いつつライヴ動画を観るとまたもやどっひゃ~っと衝撃!!!アイドルノリで盛り上がってんじゃん。凄し!!!
SAY!にゃんにゃんにゃん!!
彼女のブログのトップページにはこうある:
”猫系小動物NEOアイドル「いずこねこ」。
2011年10月より活動開始し、瞬く間売れっ子、いや売れ猫になりつつある。
アイドルの様なアーティストの様な良くわからない存在、いや、猫だけど、ジャンルにとらわれない新世代ミュージックとファッションで可愛くてイケてる感じが滲み出てる「いずこねこ」今年、色んな意味で爆発すると多方面から注目されている1994年生まれの現役女子高校生!いや、女子高校猫である。”
いや~まさに良くわからない存在。魑魅魍魎のアイドル畑に100km離れた音響農場から地下茎を伸ばして芽を出した突然変異種。サウンドのクールな浮遊感はイケイケノリのアイドル界では文字通り浮いているが、人懐っこく頭に残るハイトーンヴォイス、ボカロイドな歌メロとお茶目過ぎるサビの落差の激しい歌、どこか妙チクリンなダンスがヲタ心をくすぐる。デビュー・アルバム「最後の猫工場」には全編ポストロック/エレクトロニカとニャンニャンコールが溢れている。
アイドルは現象としては面白いが音楽的にはバニビ以外はちょっとね~と思っていたところへ救いの女神の登場である。
SAY!にゃんにゃんにゃん!!!
とにかくライヴを体験しなきゃ、ということで1月4日新宿MARZでの「初期衝動 Vol.1&2」というイベントを予約。2013年初ライヴはアイドルという事態に相成った。
SAY!にゃんにゃんにゃん!!!!
このこどこのこ
ねこのこのこね
可か不可かザムザかカフカか
(かかふかかざむざかかふかか)
女子高生が宅録でこれだけ完成度の高い世界を産み出してしまうのだからまさにアンファン・テリブル(恐るべき子供たち)である。もしくはテン世代のファム・ファタル(宿命の女)かもしれない。
SAY!にゃんにゃんにゃん!!!!!