A Challenge To Fate

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牝豚は黙ってなさい!~キノコホテル「マリアンヌの誘惑」

2012年12月07日 00時26分19秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


キノコホテルの3作目のオリジナル・アルバムがリリースされた。徳間ジャパンからヤマハミュージックコミュニケーションズ(以下YMC)に移籍しての第1弾である。YMCには取締役でもある中島みゆきを筆頭に矢野顕子、谷山浩子といった大御所女性歌手が所属する。若手では中村中、坂本美雨、手嶌葵等がいるがロックではなく歌ものである。傘下の中田ヤスタカ主宰contemodeレーベルにはcapsuleやCOLTEMONIKHAがいるがこちらはクラブ系。ロック系がいないわけではないが、ヒット性のあるロック・バンドは恐らくキノコホテルが初めてではなかろうか。キノコホテルの為に復活したWAXレーベルを離れることになった舞台裏に関しては知る由もないので邪推するのは辞めておこう。

キノコホテルを最初に聴いたのは2008年2月インターFMの朝の番組だった。ジョージ・ウィリアムス、古川タロヲ、マイク・ロジャースがDJの「Good Morning Garage」という番組で"フランク・シナトラからセックス・ピストルズまで"をキャッチフレーズに朝っぱらからパンクやオルタナやインディ・ロックをガンガンかけるイカし(れ)たプログラムだった(現在は18:00~20:00「6 O'Clock YATSURA」として放送中)。特にギャルバン贔屓で国内外のガールズ・ロックがよく紹介され未知のカッコいいガールズとの出会いがあった。ある朝流れたファズ・ギターとオルガンのガレージGSナンバーに電撃ショックを受けた。それがキノコホテルのインディ・デビュー曲「真っ赤なゼリー」だった。早速ネットで検索しオフィシャルサイトを見つけた。その時はギターとドラムは違うメンバーだったが「支配人」「秘書」「経理」「広報」とホテルの従業員を模した世界は出来上がっていた。同年5月にサザナミ・レーベルからリリースされたガールズ・コンピ「Girls Sazanami Beat Vol.1」に収録され、新宿JAMでのレコ発イベントで初めてキノコホテルを観た。six、THE LET’S GO’S、That’s a NO NO!、その名はスペード、The Cloversなど現在もガレージ・シーンで活躍するバンドの中で、キノコホテルの独特の世界観と卓越した演奏力は際立っていた。サザナミ・レーベルの主宰者カマチガク氏に「キノコは凄いね。サザナミで出すの?」と尋ねたら「サミー(前田)さんのところですよ」と応えた。イベント終了後物販席にメンバーがいたのでサインを頼んだら3人は快く書いてくれたがマリアンヌ支配人だけ頑として書かなかった。他のメンバーが「支配人は人見知りだから」と気を使っていたのが印象的だった。

その後メンバー・チェンジを経て2009年3月DVD「キノコホテルの夜明け」発売記念実演会を観た。2部構成で前半は前回と同じボヘミアンルック、後半は赤のミリタリーでエンディングでマリアンヌがオルガンの上に乗って演奏、紫パンツが眩しかった。既にガレージ・シーンを超えて幅広いファンにアピールしていた。以来キノコノトリコになり何度も実演会へ通った。六本木Super Deluxeでのワンマンは最前列で支配人まで2mの至近距離で観た。その頃は開演前にメンバーの寸劇を交えたショートビデオを流し、実演会では最後の曲でイザベル=ケメ鴨川が客席へ乱入しファズ・ギターを弾きまくりマリアンヌ支配人とディープ・キスをするというパターンが多かった。

メジャー・デビューしてからは実演会は下北沢CLUB Queと新宿ロフトが中心になり、ある日ステージ最前列でモッシュに巻き込まれ酷い目に会って以降は後列から眺めることにした。人気が高まるにつれマリアンヌ東雲の個性が発揮された。キノコホテルの支配人として従業員をこき使い、ドS発言を繰り返す倒錯したサディストのイメージ。まさに映画「愛の嵐」のルチアのように。


この新作ではアートワーク、曲名、歌詞、さらに限定デラックス盤<夜の玩具箱>に封入された写真集と全5種類をランダムに封入した夜の格言バッジ(私のは表題の格言だった)まで見事にマリアンヌの妖艶な「エロス+独裁」感が漲っており、今までのキノコホテルの世界の集大成となっている。デラックス盤のみ収録のシークレット・トラックの生々しいサウンドには思わず背筋が凍りく。



このアルバムのレコ発「サロン・ド・キノコ~四次元の美学 ツアー」で現在の体制での営業を終了すると声明を出したが、確かにここまで完成するとそれを壊したくなるのが真のアーティスト足る所以だろう。ということはこのツアーは現在のキノコホテル美学の総決算となる筈であり見逃す訳にはいかないことは言うまでもない。胞子としては支配人に思い切り罵倒されたいものである。



革の鞭
ピシッと鳴らす
冷酷さ

マリアンヌ東雲の次なる構想がどうなるかは誰も知らない知られちゃいけない。

[12/7追記]
<夜の格言>コレクション




残るひとつは「この役たたず」。

コメント (4)
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