グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

不思議探しのツアー

2011年06月12日 | ツアー
今日はトライアスロンのために来島した顔なじみのお客様達と、元町溶岩流と南部海岸をまわってきました。

全員が好奇心旺盛で不思議を見つける目を持った方達なので、今日も本当にたくさんの「!」や「?」に出会って、無茶苦茶楽しい時間を過ごしました!

まずは元町溶岩流で、「植物が育つには水分と光が必要」という話をしたところ、「表面の岩の下にあるコケはどの辺りまで生えているか?」という疑問の声が上がりました。

さっそく岩をどけ、実験開始。


一番上の岩をどけた場所にはまだコケが生えていましたが、その下はだんだんコケが無くなり、岩が湿っているだけとなりました。

岩の下には意外にたくさんの生物が住んでいました。

ヤスデが這い出てきました。


クモの巣状のものがいくつもあって、そこに居た虫をケースに入れて観察したら、こんな姿が見えました。

クモ?
足が4本しか見えないのは何故でしょう??
そっとケースに入ってもらったので、足は取れていないと思うのですけど…??

岩を覆うコケ(緑色)と地衣類(灰色)。

この岩を見ながら「コケは植物で葉や茎があり光合成をして暮らし、地衣類は藻類と菌類が助け合って暮らしているんですよ。」と語ったところ…

岩を割って、溶岩の中に入り込んだ菌糸を見つけて教えてくれました。
黒い溶岩の中を糸状に這っているのが菌の体である“菌糸”です。

地衣類の菌糸を見つけようとしたお客様は初めてです!

全員で溶岩の中の菌糸を観察中。

この研究熱心さ、すごい~!(^^)!

海岸沿いでも「これ何だろう?」「どうしてこうなっているのだろう?」という不思議の連続でした。
以下、私の発言です。

「おお!素敵な模様ですね!
これは熱風が岩を削ってできたのでしょうか??」

「片面だけ、綺麗に模様が入ってますね~。」

「うわ、柔らかい泥か砂っぽい層に白い石がめり込んでいますよ!
トウシキのジオサイトがこれと同じ感じで、波浮港の噴火で飛んできた石がめり込んだのでは?と言われていますが、ここも同じ時代かなぁ?」

「波浮港からはずいぶん離れているし別の場所の噴火でしょうか?
それにしても海岸沿いで良く波に削られずに残っていますね。」

「この岩も不思議でしょう?」

「溶岩流の表面がブツブツ泡立って、その泡が破れたのでしょうか?
しかしこれも良く波に削られずに残ってますよね。」

(このことに関しては詳しい方から塩の結晶による風化ではないかと教えていただきました。
こんどもっと良く勉強しておきます!)

「え?正体不明の物体?」

「な、何でしょう?このブヨブヨ~!
一つの岩の上にだけたくさん付いてますけど…?(^_^;)」

「まるでキクラゲみたいだけれど、キクラゲって木に付くキノコですよね~?

ではこれは、いったい何~??」

「え?壁に木が挟まれてる?
しかも、何本かあるのですって?」

「ホントだ、何本も挟まれてますね!新発見、すごい~!!」

「え?また不思議な物を見つけたんですか?
おお!中身が白くて密な状態で、回りは発泡してますね。」

「人工的なものでしょうか?
それとも新島や神津の溶岩とか??」

…とまあこんな具合に、皆でたくさんの不思議に頭をひねりながら時を過ごしました。

中でもかなり皆で考えたのが、この風景の成り立ちです。

ある高さに堅い層があるらしく、その下までが波で削られ上が残っている景色。
この海岸では何か所も見られます。

お客様がこのちょうどこの別れ目に、赤いラインが入っているのを発見しました!
そしてそのラインが明らかに水を貯めていることを教えてくれました。

酸化鉄??
何でここだけこんなに水を通さないのでしょうか?

未解決の疑問がいっぱい残りましたが、皆で過去の出来事を想像しながら答えを探して過ごす時間は、最高に楽しいです。

最後に訪ねた海岸でも…

「こんなふうに地面を芸術的な模様に削ったのは、波だろうか?雨だろうか?」と語り合いながら、ツアー終了となったのでした。

またいつか皆で、頭に{?}マークがいっぱいになるような、ワクワクする時間を過ごせたらいいなぁ。
皆さん、是非また遊びにいらしてください~(^^)v

(カナ)

PS.
数々の疑問を火山専門家の川邊さんにメールで問い合わせたところ、以下のような回答をいただきました。

「溶岩の模様(縞と泡みたいなもの)は,海岸付近でよく見られる侵食模様ですね。
理由はよく分かりませんが,ごくわずかな溶岩の発泡度の違いやガラスの多寡が,波や
海水の塩分,生物による侵食などでどんどん強調されていくようです。」

「赤いラインは,ラインの下がやや細かく,上がやや粗くなっていると思います。細かい砂や泥の地層は
水が通りにくく,そこが地下水の下面になってしまいます。そこに鉄鉱(褐鉄鉱でしょうか)が沈殿する
ことで,ますます水が通りにくくなる…ということではないかなあ。」

こんなふうに疑問に対しての回答をいただくたびに、「?」を自力で解決する事が少しだけ出来るようになって、ますます楽しくなっていくような気がします。
これからも、いっぱい教えてもらって、この場で報告しますね(^^)v
コメント
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