グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

火山観測

2012年04月24日 | 火山・ジオパーク
今日は気象庁伊豆大島火山防災連絡事務所の、合同火山観測に同行させてもらいました。

ガイドをしていると、お客様から火山観測機器について聞かれることが多いのですが、いつも「たぶん~だと思います。」という答え方しかできていませんでした。「いつか現場で説明を聞きたい。」と思っていたので、今日の観測をとても楽しみにしていました。

気象庁ではGPS、地震計などのデータに加え、毎月1回人間の目で現地の地形の変化などを観測しているとのこと。

いつも噴気があがっている三原新山のふもとの何箇所かで、地中温度の測定を見せてもらいました。
最初の“X-7”地点は29℃ぐらい。

場所を変えて、噴気の中へ…。

この白い湯気はほとんどが水蒸気で、二酸化炭素が少し混ざるだけとのこと。

地面には、一直線に“ひび割れ”ができていました。
写真の中央よりやや左寄りに、縦に伸びる溝がわかるでしょうか?

大島って、こんな“ひび割れ”ができるほどの圧力が、島全体にかかっているのですよね(^_^;)

ひび割れたところからは常に噴気があがっていて、地中温度も高くなるそうです。

どこからともなく「温泉卵作れるんじゃない?」の声が(^。^)

“温度ロガー”という常設の温度計もチェック。

地中50cmと100cmの温度を30分ごとに自動で測定し、3か月分ぐらいのデータを記録しておけるそうです。
50cmぐらいだと、地上気温や雨の影響を受けやすいけれど、100cmだとほぼ安定しているとのこと。

こちらは50cmごとに“温度ロガー”を入れて、場所ごとの温度変化を細かくチェックしているそうです。
写真の中で横一列に並んでいるいくつもの“温度ロガー”見つかりますか?


火口では、崩れ、噴気の色や匂い、高さを目視でチェックした後“赤外放射温度計”を使ってピンポイントで、
火口底の温度をチェック。

だいたい50℃ぐらいだそうです。

さらに赤外熱映像装置で、地表面の温度分布を測定。

のぞかせてもらったら、火口底が青、赤、黄色、緑に色分けされて見えます。
この映像、気象庁HPで見たことはあるけれど、現場で見ると「うわ!火山生きてる!」って感じました(^O^)
(映像を、ご覧になりたい方は、気象庁HPをご覧ください。)
http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/rovdm/Izu-Oshima_rovdm/chousakansoku.html#section2

火口展望所のすぐ横にある機器も、詳しく説明してもらいました。

円盤はGPS、オレンジ色のミラーはレザー光線を反射して位置を知るためのもの、白い棒は無線アンテナで、データを温泉ホテル経由で東京へ飛ばしているのだそうです。ソーラーで発電してボックスの中のバッテリーに蓄電しているとのこと。

ヤッタ~!今までの疑問解消。
これでお客様からの質問に正確に答えられます(^^)v

火口観測のあとは、剣が峰の下へ移動。
目の前の壁から白い湯気がモクモク立ちあがっている景色は、なかなかの迫力です!

「こういう風景、たくさんの人に見せてあげたいよね。」
…みんな思いは同じなようです。

白い湯気が雲と一緒になって、風に乗って流れていきます。

大島スゴイ~!(^O^)

この場所では地中100cmの温度を測定(46℃でした)

器械には、地上温度を測るセンサーもついていました。

これがセンサー。

本日17.3℃。

周囲には「パホイホイ?」と思われる、面白い形の溶岩がいっぱいです。


こんなのもありました!

破れたホースみたいな形ですね。

さて、最後の観測場所は、火口の縁にある監視カメラ。
いつも気になっていた、なにやら大きな装置が目の前に迫ってきました!


大きな装置のほとんどは、ソーラーパネルでした。

大きなカメラを動かすために、6枚ものパネルを使って蓄電しているそうです。

カメラがいつも監視している風景って、どんななのでしょう?

ワクワク(^O^)

うわ~、結構切り立って見えますよ~!

今、湯気があがっている場所から次回も噴火すると予想されていて、そこを重点的に監視しているそうです。

「うわ!加治屋さん(所長)、何してるんですか~??」
火口の縁ギリギリに足を置いて、身を乗り出しています!

「カメラの掃除をしなくちゃいけないんですよ。」
(ヒェ~(^_^;)、体張って仕事してますねぇ…。)

ところで今日は、火山観測のあとにスペシャルおまけつきでした!
裏砂漠に、“ペレの髪の毛”を探しに行ったのです!

“ペレの髪の毛”とは噴火で空中に飛んだ溶岩が毛のように細く引き延ばされ、冷えてかたまったものです。
噴火後25年たった今も、降り積もったスコリアの下の昔の地面(火山灰層)からいくらでも見つかるということが、最近わかったそうなのです。

みんなで真剣に探しました。

「あ、あった!」

すぐに見つかりました!
太めのものから細いものまで。

かなり短毛ですけど…。

噴火の初期にはこんなものがいっぱい、空から降ってきたんですね。
ちょっと痛そう…(^_^;)

まだまだ知らない事だらけの火山。
知れば知るほど、その魅力にハマる火山なのでした(^O^)

今日は、今の科学がどうやって火山と向き合い共存しようとしているか、その現場を見ることができてとても面白かったです。資料を読んでも良くわからなかったものが、現場で説明を聞くことでスッキリわかりました(^O^)

観測に同行させて下さった気象庁の方々、ありがとうございました!
これからはきっとツアーの時に、伊豆大島の火山観測システムを自慢しちゃうと思います(笑)

(カナ)










コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする