グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

地球を体感、ジオツアー。

2012年11月13日 | ツアー
これまでダイビングに通って下さっていたSさんが、海に潜らない旦那様と一緒に、2日間のツアーをリクエストしてくれました。

一昨日は、雨&霧でした。
午前は雨の中を歩きましたが、昼食をはさんで歩きはじめた頃には雨が上がってきました。

「これはこれで幻想的だよね。」と、ポジティブなお2人。
雨の日ならではの景色も、いっぱい見つかりましたよ。

植物たちの赤い実が、雨に濡れて輝いていました。
通称「マムシグサ」の実。

鳥達に売れ行き良好みたいで、残りわずかでした。

メギの実もツヤツヤ。

雨上がりは特にキレイです!

きらきらススキ、雨バージョン。

ちょっと「風前の灯火」ですけれど・笑

霧がかかっていた方が、だんぜん幻想的な溶岩流上の景色。

イタドリ達が葉を落として、秋色になっていました。
シブイ~。

人型溶岩?(笑)

楽しそうです!

霧にかすむ森。

夢の世界にいるようです。

森の中のキラキラ。

「これはスゴイ!」とSさん。
さらに足もとには…

風車みたいなキッコウハグマの花!

1cmもないような花が数個、ひっそりと咲いていました。
暗い森の中でこういう小さな花に出会うと、貴重な宝物を見つけたような気分になります。

黒い溶岩と、霧にかすむ森の木々。

この景色の中にいると、心静かな満ち足りた気持ちになるのは、私だけでしょうか?

さて、昨日です。

9時頃から晴れの予報だったので「よ~し、今日は火口を見に行くぞ~。」と計画して、お2人を迎えに行きました。

そうしたら、山は濃霧でした。
ありがちだ…。

で予定を変更して、ゆっくり裏砂漠に向かいました。火口よりは多少標高が低いから、早く霧が晴れるかもしれないし、霧でもその動きを楽しめるはず…と思ったのです。

裏砂漠は、白と黒の世界でした。


「なんにも見えないね。」

と言い合いながらも、なぜか笑顔のお2人。
すばらしいです!

旦那さんは松本清張の「風の息」も読まれているとのことで、1952年に起きた「もく星号墜落事故」のことをご存知でした。濃霧の中、事故者の碑に手を合わせた時に不思議なことが起こりました。

後光が射すかのごとく、突然太陽が現れて碑を照らしたのです!
そして…

一瞬だけワ~っと霧が晴れて、黒い砂漠が見えました。

あまりのタイミングに、全員驚きました。
「奇跡ですよね。」みんなで一瞬見えた遠くの景色と青空を語りながら、帰路につきました。

そうしたら、なんと!
途中で霧がどんどん晴れて来るではないですか!

「このまま帰って青空が出たら残念すぎる。せっかくの奇跡も奇跡ではなくなってしまう…」
散々迷った結果、引き返すことに決めました。

火口を見るために3往復したことがありますが、裏砂漠2往復は初記録です!(笑)
戻った私たちが見た景色は…

「わぁ~!」


「すごい~!!」


「霧が消えていく瞬間を見ちゃった~!」←これは私。


霧が消え去ったと思ったら、今度はゴォ~っと風が唸りはじめました。
「うわ~。すごい風!」

よろめくほどではないので大島にあっては「強風」とは呼べないかもしれませんが、それでもかなりな迫力です。全身で風を受けて、耳元で風の唸る音を聞くなんて、なかなかできない体験ですよね!

風の音とともに雲もどんどん形を変え、山に帽子をかぶせたり、再び消えて行ったり…。
大迫力の動画の世界でした。

広大な景色に見とれ、霧や雲の動きに圧倒され、風を体で感じた裏砂漠。
裏砂漠らしい要素が全て、ギュッと凝縮したような時間でした。

あまりのめまぐるしい変化に、全員興奮状態でした。
(皆この後ずっと「すごかった」という言葉を、うわごとのように繰り返していました。)

お2人は「もう次は裏砂漠は行かなくて良いかも。今日が最高だったから。今日を“裏砂漠の思い出”としてずっと、そのまま取っておきたい。」とおっしゃっていました。その気持ち、わかります。

めまぐるしく変化する天気の中を歩いた2日間のツアーですが、
港に着いた時には、それまでの天気がウソのような青空が広がっていました。

唯一、私の髪の毛が裏砂漠の風を証明してます・笑

まさに「地球を丸ごと体感」した、ジオツアーでした。

(カナ)
コメント
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