阿蘇ジオパーク講習報告・続編です。
フィールド講習で最初に訪れたのは、立野渓谷。
眼下に見える渓谷の壁には、規則的な縦の筋が何本も伸びていて、その美しさが目を引きます。
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この縦の線の、上から下までが全部、1回の噴火の溶岩流。
立野溶岩、と呼ばれているそうです。
全部で100mの高さがあるそうで、まだこの下があるらしい…。
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阿蘇、でっかいです!
私がいつも伊豆大島で見ている溶岩流は高さ10m以下。昨年“赤ダレ”で20mぐらいありそうな溶岩を見て、「過去にそんなに大量の溶岩が流れたことがあったんだ!」と感動していたのに…。100mといったら、伊豆大島“赤ダレ”の溶岩の5倍です!
伊豆大島の赤ダレの写真
↓
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この写真の5倍の高さの、赤いドロドロの岩が流れてくるって、いったいどういうことでしょう?
…とてもこの世のものとは思えません。
阿蘇のカルデラの中には、伊豆大島が丸々4個近く入ってしまいます。ということは、阿蘇でカルデラができた時の噴火は、伊豆大島も、新島、三宅島、八丈島も、丸まる全部吹き飛ばすぐらいの規模だったということですよね。ヒエ~。火山灰は北海道まで飛んでいるし…。
そしてこれからも、そういう噴火が起きる可能性はあるのですよね。
火山、すごすぎる…。
この日は立野渓谷以外にも、すぐ横の火口から噴き出した溶岩が、積み重なってできた赤い山や…
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周りが崩れて、だんだん後ろに下がっていっているという滝に立ち寄り
「どういう表現が伝わりやすいか。」を皆で話しあいながら見学しました。
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森が得意な方、火山を良く知っている方、シャレを言って笑わせてくれる方…
みなさん様々で、楽しかったです。
そして、2日目の朝です。
講演会の前に、阿蘇火山博物館館長の池辺さんに阿蘇神社周辺を、案内してもらいました。
驚いたのは、田んぼの中に何やら白いものが、動いていたことでした。
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水?
そう、田んぼに水が噴き出していました。
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吹き上がる水の一番高い位置が、このあたりの本来の水位と言われているそうです。
田んぼの中で、あちらこちらから水が噴き出しているのは、初めて見る不思議な風景でした。
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伊豆大島の年間降水量は2700~2800mm。阿蘇は山が3000mm、このあたりが2500mmとのこと。
大島は水の出る場所が少なく、昔は水の苦労があったと言われています。
2カ所とも雨量はあまり変わらないのに、阿蘇は掘れば(掘らなくても)水が湧き出る…
この違いって、噴き出す火山灰の量と噴火の歴史の長さに、関係あるのでしょうか?
阿蘇神社。
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大島の大先輩の火山の神様に、お参りしました。
阿蘇神社の周りには、雰囲気のある町並みが広がっていました。
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看板の型を統一し、雰囲気のある町並みを作ったことで、最近若いお客様が増えてきたそうです。
確かに歩いていると、なんとなく楽しくなってきます。
こんなのもあるし…。
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このあたりの名物らしいです。
ところで阿蘇のカルデラの中を車で走っていると、茶色い山の景色が気になります。
「山=緑」というイメージを持っている私にとって、この景色はとても不思議でした。
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「あのう?茶色いところは崖崩れでしょうか?」
おそるおそる聞く私に、「いえあれは春に野焼きをする場所です。茶色く見えるのは、草原の草が枯れているため。」と池辺さん。
「茶色い所の左横に、雪のラインが見えますか?←(写真には写っていません~)あれは春の野焼きの際に、火が森に燃え移らないようにするための防火帯です。
15m位の幅で阿蘇の人が草刈りをし、そこを焼いたために草がなくなっているので、そこだけ雪が積もっているんです。」
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池辺さんの話しによると、急斜面での野焼きは大変な作業で、危険も伴うそうです。
阿蘇では、茅葺き屋根、田畑の肥料、牛馬の餌にするために昔から野焼きをして草地を維持して来たけれど、茅葺き屋根がなくなり、化学肥料が使われるようになり、草の用途が減っているそうです。
昔は阿蘇に住む人たちにとってそれが必要だから草地が維持されて来たけれど、その必要がなくなった今、命がけの野焼きをして草地を維持するのは地元の人に、かなり負担をかけることになるということです。
「この土地ならではの自然を維持しよう」という思いと「それが本当に今、地元の人にとって必要なのか?」という思い、その2つの間で揺れる気持ちが伝わって来ました。
昨年の夏、阿蘇には大雨で土砂災害が起こり、犠牲になった方もいました。
カルデラ壁は大昔から時々崩れ、壁の下は崩れたもので傾斜地になっていて、そこに現在たくさんの人が暮らしているそうです。
広い庭にある大石を「神様」として祭ってある家もあるが、それは実は遠い昔に崖が崩壊し、転がって来たものであったりすると…でも平地は平地で浸水することもあって…
そういう様々なリスクを今、そこに暮らしている人たちに、どう伝えれば良いのか?子ども達には?
池辺さんとの話しは、阿蘇の防災のことに及びました。
会話の中で池辺さんや阿蘇ジオパークの方達の、地元寄りの感じ方や葛藤、阿蘇への思いのようなものに触れて、「これこそまさにジオパークだなぁ」と思いました。
一昨日のアンケートにもあった言葉。「阿蘇に生きる人々は、豊かな大自然の中での生活を大いに楽しんでいるとともに、もちろん悩みもそれなりにあることを同時に伝えられること。」
阿蘇には、こういうふうに感じている人が、いっぱい居るのですね。
地元の人も、その場所が好きで移り住んだ人も、皆にとって良い方向を探していく過程そのものが(様々な悩みや葛藤も含めて)そのままジオパークなのだ、と感じました。
大島に帰って来てからも、今回の講習で出会った阿蘇ジオパークのガイドのみなさんの熱い思いや笑顔を思い出します。
「阿蘇はいいジオパークだなぁ」と心から、思いました。
「いつまた必ず、歩きにいきたい。」
そんなふうに思っています。
(カナ)
フィールド講習で最初に訪れたのは、立野渓谷。
眼下に見える渓谷の壁には、規則的な縦の筋が何本も伸びていて、その美しさが目を引きます。
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この縦の線の、上から下までが全部、1回の噴火の溶岩流。
立野溶岩、と呼ばれているそうです。
全部で100mの高さがあるそうで、まだこの下があるらしい…。
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阿蘇、でっかいです!
私がいつも伊豆大島で見ている溶岩流は高さ10m以下。昨年“赤ダレ”で20mぐらいありそうな溶岩を見て、「過去にそんなに大量の溶岩が流れたことがあったんだ!」と感動していたのに…。100mといったら、伊豆大島“赤ダレ”の溶岩の5倍です!
伊豆大島の赤ダレの写真
↓
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この写真の5倍の高さの、赤いドロドロの岩が流れてくるって、いったいどういうことでしょう?
…とてもこの世のものとは思えません。
阿蘇のカルデラの中には、伊豆大島が丸々4個近く入ってしまいます。ということは、阿蘇でカルデラができた時の噴火は、伊豆大島も、新島、三宅島、八丈島も、丸まる全部吹き飛ばすぐらいの規模だったということですよね。ヒエ~。火山灰は北海道まで飛んでいるし…。
そしてこれからも、そういう噴火が起きる可能性はあるのですよね。
火山、すごすぎる…。
この日は立野渓谷以外にも、すぐ横の火口から噴き出した溶岩が、積み重なってできた赤い山や…
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周りが崩れて、だんだん後ろに下がっていっているという滝に立ち寄り
「どういう表現が伝わりやすいか。」を皆で話しあいながら見学しました。
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森が得意な方、火山を良く知っている方、シャレを言って笑わせてくれる方…
みなさん様々で、楽しかったです。
そして、2日目の朝です。
講演会の前に、阿蘇火山博物館館長の池辺さんに阿蘇神社周辺を、案内してもらいました。
驚いたのは、田んぼの中に何やら白いものが、動いていたことでした。
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水?
そう、田んぼに水が噴き出していました。
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吹き上がる水の一番高い位置が、このあたりの本来の水位と言われているそうです。
田んぼの中で、あちらこちらから水が噴き出しているのは、初めて見る不思議な風景でした。
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伊豆大島の年間降水量は2700~2800mm。阿蘇は山が3000mm、このあたりが2500mmとのこと。
大島は水の出る場所が少なく、昔は水の苦労があったと言われています。
2カ所とも雨量はあまり変わらないのに、阿蘇は掘れば(掘らなくても)水が湧き出る…
この違いって、噴き出す火山灰の量と噴火の歴史の長さに、関係あるのでしょうか?
阿蘇神社。
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大島の大先輩の火山の神様に、お参りしました。
阿蘇神社の周りには、雰囲気のある町並みが広がっていました。
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看板の型を統一し、雰囲気のある町並みを作ったことで、最近若いお客様が増えてきたそうです。
確かに歩いていると、なんとなく楽しくなってきます。
こんなのもあるし…。
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このあたりの名物らしいです。
ところで阿蘇のカルデラの中を車で走っていると、茶色い山の景色が気になります。
「山=緑」というイメージを持っている私にとって、この景色はとても不思議でした。
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「あのう?茶色いところは崖崩れでしょうか?」
おそるおそる聞く私に、「いえあれは春に野焼きをする場所です。茶色く見えるのは、草原の草が枯れているため。」と池辺さん。
「茶色い所の左横に、雪のラインが見えますか?←(写真には写っていません~)あれは春の野焼きの際に、火が森に燃え移らないようにするための防火帯です。
15m位の幅で阿蘇の人が草刈りをし、そこを焼いたために草がなくなっているので、そこだけ雪が積もっているんです。」
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池辺さんの話しによると、急斜面での野焼きは大変な作業で、危険も伴うそうです。
阿蘇では、茅葺き屋根、田畑の肥料、牛馬の餌にするために昔から野焼きをして草地を維持して来たけれど、茅葺き屋根がなくなり、化学肥料が使われるようになり、草の用途が減っているそうです。
昔は阿蘇に住む人たちにとってそれが必要だから草地が維持されて来たけれど、その必要がなくなった今、命がけの野焼きをして草地を維持するのは地元の人に、かなり負担をかけることになるということです。
「この土地ならではの自然を維持しよう」という思いと「それが本当に今、地元の人にとって必要なのか?」という思い、その2つの間で揺れる気持ちが伝わって来ました。
昨年の夏、阿蘇には大雨で土砂災害が起こり、犠牲になった方もいました。
カルデラ壁は大昔から時々崩れ、壁の下は崩れたもので傾斜地になっていて、そこに現在たくさんの人が暮らしているそうです。
広い庭にある大石を「神様」として祭ってある家もあるが、それは実は遠い昔に崖が崩壊し、転がって来たものであったりすると…でも平地は平地で浸水することもあって…
そういう様々なリスクを今、そこに暮らしている人たちに、どう伝えれば良いのか?子ども達には?
池辺さんとの話しは、阿蘇の防災のことに及びました。
会話の中で池辺さんや阿蘇ジオパークの方達の、地元寄りの感じ方や葛藤、阿蘇への思いのようなものに触れて、「これこそまさにジオパークだなぁ」と思いました。
一昨日のアンケートにもあった言葉。「阿蘇に生きる人々は、豊かな大自然の中での生活を大いに楽しんでいるとともに、もちろん悩みもそれなりにあることを同時に伝えられること。」
阿蘇には、こういうふうに感じている人が、いっぱい居るのですね。
地元の人も、その場所が好きで移り住んだ人も、皆にとって良い方向を探していく過程そのものが(様々な悩みや葛藤も含めて)そのままジオパークなのだ、と感じました。
大島に帰って来てからも、今回の講習で出会った阿蘇ジオパークのガイドのみなさんの熱い思いや笑顔を思い出します。
「阿蘇はいいジオパークだなぁ」と心から、思いました。
「いつまた必ず、歩きにいきたい。」
そんなふうに思っています。
(カナ)