グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ジオパークガイドセミナー第1回の様子とその前後

2013年06月18日 | 火山・ジオパーク
待ちに待った、ジオパークガイドセミナー(全6回)の第1回目が、昨日(17日)開催されました。このセミナーは、観光庁による観光地の再生事業の一環として、三原山に観光馬車を運行するというプロジェクトの一部として行われています。全6回が予定されており、第1回目の講師として、四国は室戸ジオパーク(世界ジオパーク)から事務局の柴田伊廣先生が来島されました。
各講師陣、皆さん、伊豆大島にせっかくきたので歩きたい!!というご要望に満ち溢れていて、歩き尽くめの日々がこの先続きそうです。こちらもまたとないチャンスなので、くっついて歩き倒します!!

柴田先生は16日の夕方に着き、早速近くのジオサイトへ向かいました。
フットワークが軽い!
向かったのは野田浜。


野田浜の右手に露出している、岡田火山と思われる露頭について、いろいろ質問をされ、西谷や私が答えます。
でもなんとなくみんな納得しない様子。
「これはどうやってできたの?年代は??」
「溶岩流?岩脈??」
「結晶の入り方が違う?周囲との関係は?」
などなど。しまった!!今まで考えることを忘れて、すっかり周りの景色に魅了されていました。よく見ると、観察して面白いものがいっぱいではないですか?!


この岩脈と思われる中に、大きく成長した結晶の断面が見えました。
「これだけ結晶が成長する理由は?」
「このジオサイトで何をみせたい?何を語りたい?」
などなど。即座に答える西谷と、答えられない私。私も私なりに答えられるよう、あいている時間を見つけて、ジオサイト巡りをじっくりしよう。そして考え、感じて、伝えたいことを地球に問いかけてみよう。この2ヶ月三原山メインで歩いていましたが、そういえば海岸も面白かった!!と気がつきました。これから夏だし!!うむ。


次は赤禿。
「なんで赤い?」
「高温だと赤くなるの?」
「赤と黒の違いは??」
教科書や、人に聞いたこと丸覚えでそれを伝えるだけじゃあ、ダメなんです。
一度自分できちんと「咀嚼」しないと。
はい、頑張ります。


ちなみに、赤禿のボロボロ崩れる露頭で、発見!!赤の中に黒がある!!そしてこの引き伸ばされよう!!!
地層の観察の基本は「全体を見て、徐々に中を見ていく」でした。
おお、すっかり忘れていた。
そして観察に夢中になって気がつけば日暮れ時。やっぱり観察は楽しい!!

17日。セミナー当日も、朝から時間の許す限り歩きました。
まずは千波崎。
ここは上に立ち枯れしている樹木があるのですが、それも質問がきました。
みんなそれぞれの意見を言いますが、なんとなく全員納得できない様子。今度実際に近づいて見ればわかるかな。


足元の溶岩。
「これは流れた?年代は??」
「枕状溶岩の可能性は??」
うーん、うーん、みんなあーでもない、こーでもない、頭がフル回転!!


これが今回最大の謎。


どうも1枚のシルト質の層に上から別の地層が下に入り込んでいます。
なんじゃこりゃ~!!!!
「どうやってできた??」
全員いろんな案を考えました。下から吹いた説、上から溶けた説、植物説、などなど。答えは迷宮入りです。そもそもこの地層が堆積した当時、この環境はどんなだったと考えられるか?など。考えれば考えるほど奥深く、キリが無い!でもそれが面白いんです。分からないことを、とことんあらゆる可能性を考える。いくつもアイデアがでる。答えがわかっていることを考えることは簡単ですが、答えがまだないことをみんなで考えることも、難しいですが、楽しいです!!


ある層には、伊豆大島の地球史上、噴出したことがないはずの「軽石」も含まれていました。
私は全然気づかなかったのですが、いろんな人と行くと、みんなそれぞれの視点で何かを発見しています!!ゲストの方と歩くときもそうですが、こうして勉強会で歩くときも、新しい視点が得られて、とても新鮮です!!


午後は一転、山へ。
フレッシュ火山を堪能してきました。

そして夜は、本題のセミナー。
本日のテーマは「伊豆大島ジオパークなァ~しょうか?」(ガイド先進地の室戸ジオパークから学ぶ)です。
くじ引きによって分かれた6班でグループディスカッション形式で進められていきます。
これをワークショップというなり。

以下内容
講師自己紹介;ジオパークに関わった経緯、葛藤、現在
1、自己紹介カードをもとにした各班毎の自己紹介(各班毎、1人30秒、進行係、書記、発表者の選択)
2、STEP1、「伊豆大島ジオパーク、うまくいっていること、うまくいっていないこと、心配事や疑問」
3、STEP2、「グループ毎に話し合ったことを報告」1班1分
4、STEP3、「柴田の情報提供」
 スライドテーマ「室戸ジオパークが魅せたジオ活」20~25分
 ・ジオパークとは?
 ・ストーリーづくりの魅力
 ・おもしろガイドの魅力
 ・地域住民と会議の魅力
 ・若者参加の魅力
5、STEP4、「みんなでしたいこと作戦会議」(10分程度グループディスカッション)
6、STEP5、「グループ毎に発表、共有」


というわけで、「伊豆大島のジオパークの現状と今後の課題」についてとことん話し合いました。
最も多かった意見は「ジオパークに関しての住民の認知度」でした。


室戸のガイドさんが使う、「付加体」を説明する方法。
「僕が四国です、伸ばしている腕が四国の下に沈みこむプレートとします。この服は地層です。さて、この腕が僕の下に沈み込んでいきます・・・(腕を柴田先生の腕の下にいれると)ここにできた服のしわ、これが付加体です」
なんてわかりやすい!!!
身近なもので表現するって、言葉や絵で説明するよりも、体感できていいですね!


そしてこれが、今回の参加者26名全員で考えた、「みんなでやりたいこと」。
これを全部できたら、すごいジオパークになるに違いない!まずは一歩踏み出すことから。
柴田先生が室戸ジオパークでとても感じたこと。
それは、「住民がやる気になるか」でした。
「ジオパーク」というのは、ひとつのツールで、きっとみんな根本は同じ。「私のところが一番!!」それをどうやって、外にアピールするか、その一つの道具が「ジオパーク」なのかな、と私なりに考えました。地球の上に住んでいる限り、地球の活動に人の歴史や生活が左右されている。それをどうやってつなげて、ストーリーにして、あるものは保全したり、あるものは共有したり、みんなで楽しめるか。

まずは自分の好きな大島の瞬間、からジオにつなげてみませんか?


本当は明日帰られる予定でしたが、明日から海上が荒れそうなので、残念ながら滞在が1日短くなりました。
岩石学が専門の柴田先生。植物は苦手そうでしたが、面白い発見がありました。
わかりますか?
オオバヤシャブシの葉っぱが右についていたか、右についていたかが、わかる!!ということなんです!!
全然気がつかなかった!!毎日見ているのになあ。


毎日見ているから気がつかない世界。そこにはきっと、外から見ると発見や宝物がいっぱいなんでしょうね。
地球を海から山まで体感できる伊豆大島。歴史も、文化もいっぱい伊豆大島。おいしいものも、あたたかい人もいっぱい伊豆大島。いいなあ、伊豆大島!!
熱く語りすぎて、長くなりました。
柴田先生、またお待ちしています!ありがとうございました!!
次回は19日(水)、19時から、同じく開発総合センター3F会議室にて。伊豆半島から鈴木雄介先生が来島されます。テーマは「身近な伊豆半島のジオストーリーを学ぶ」の予定です。荒天にも負けないぞ~!!(ユカ)

コメント
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