グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

釣り竿の奥に。

2013年06月13日 | 火山・ジオパーク
先日アウトドア雑誌「GO OUT」と釣りの「ダイワ」さんの、日帰り取材に同行し、少しだけガイドさせてもらいました。

野田浜(水中がジオサイトにもなっている海岸)に集合。

皆さん腰に細長いものを巻き付けています。

これ、ワンタッチで広がる救命具なのだそうです。

軽量,コンパクトで驚きました。
今ってこういう時代なのですね~。

釣りの仕掛けをしている間に,少しだけ火山を紹介しました。
双眼鏡で、海岸の壁のシマシマを観察中。

「海岸の黒い岩は昔ドロドロに溶けた岩が流れて来て,それが冷え固まったものなんですよ」という話しに「へえ~」の声があがっていました。

テリハノイバラの花が満開で、白くて大きな花なのでキレイでした。

でも、棘だらけなんですよ~。

「あ、ツルナ!食べるとシャリシャリした触感なんですよね~。」と語りながらあたりを歩いていたら,溶岩チューブにレイアウトされたツルナを発見。

なんだかお洒落です!

10分ちょっとで釣りの仕掛けができたらしく、みなさん集合して準備に入りました。
しかし私は、足もとの地層が気になります(笑)

大小様々の溶岩粒が混じる地面。
「昔ここに土石流が流れたのかなぁ…。」

実は、ここまでで私の役目は終わったのですが、せっかく来たので皆さんの釣りを見学することにしました。突き出た溶岩の先まで歩いて行きます。

ゴツゴツの溶岩の表面は、長い年月の間に波に削られて想像以上に滑らかでした。
波の力ってすごいなぁ…。

潮が引いた溶岩の隙間には、様々な生き物が見つかります。
ギュっと縮んで潮が満ちるのを待つ,ウメボシイソギンチャク。

梅干しって…ぴったりなネーミングですよね。

蓋をして乾燥に耐えるフジツボ。

これでもエビやカニの仲間なんです。

穴だらけの溶岩を上手に利用しているな~と感心してしまうのがこちら。

タマキビの仲間。かつて地下でマグマがブクブク泡立ったことでできた小さな穴が、今ではタマキビたちの住まいに利用されているんだと思うとなんだか楽いです。

おお!ひときわ大きな岩発見!

こんな波打ち際でこの大きさで残るなんて,かつては相当大きな溶岩の塊だったに違いありません。
どうやってここに来たのでしょう?

そして,この場所に来るたびにホレボレするのは…

釣りをしている人たちの、向こうに見える緑の丘の左端にあるシマシマ。

ここは,今の大島の火山が誕生するよりもずっと昔(数10万年前?)に活動していた火山の中身が見えている場所です。

「黒い層ができたのは、ドロドロ溶岩が流れたからかも?
赤い層ができたのは、すごそばの火口から高温の溶岩が雨のように降り注いだからかも?
黄色い層ができたのは,モクモク火山灰が降り積もったからかも?
右側にある黒が層になっている部分は、別の火口から出て来たものかなぁ?
この地面ができた頃、ここにはどんな生き物がいたのかなぁ?」

「ああ、釣り竿の奥にドラマが見える~!」
…とまあこのように、ジオ好きになるとタダで一大スペクタクルを楽しめるので、大変お得です(笑)

ところで今回、ダイワさんからお土産をもらいました。
これ。

磯の生物を中に入れて観察できるポケットサイズのケースです。
定価450円で売っているとのこと。

カニの抜け殻を入れてみました。

スケールがついているのでサイズも測れます。
良い感じです~。

今回同行させてもらって「釣りは一カ所に長く留まるのでその分ジオもゆっくり楽しめる」ことに気がつきました。釣りと、磯観察と、ジオツアーの組み合わせ、なかなか楽しそうです!

(カナ)





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする