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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

桜島の火山博士

2013年06月27日 | 火山・ジオパーク
一昨日行われたジオパークガイドセミナー講師の福島さん(桜島ミュージアム理事長)と2日間、大島を歩きました。

一昨日の辛島のブログでも報告があがっていましたが、初日は到着するなり三原山フルコースへ。

福島さんは,火山地質の専門家です。
火口一周コースの中で最も見晴らしの良い“剣が峰”での火山講義は、なんとも贅沢な気分でした。

そして昨日は雨の中、元町溶岩流、筆島、赤禿と回り、様々な「火山の見方」を教えてもらいました。

例えば海岸に落ちている赤茶色と黒の岩。私は今までこれを単純に「赤茶部分は溶岩が降り積もったもので、黒い部分は溶岩が液体のように流れたもの」と思っていました。ところが…

「黒い部分はもしかしたら“溶岩流”ではなく、降り積もったものかもしれませんよ。」と福島さん。
熱い溶岩が降り積もると互いが溶かしあい、再び流れ出すこともあるのだそうです。

福島さんは「そう考える根拠」を教えてくれます。

「降り積もったものの上下に溶岩流が流れたら、その境目は急冷されるのでガラガラ、ガサガサになるはずです。でも、これはそうじゃないでしょう?それに黒い部分には筋が入っている(上の写真の方が良くわかります)を見ると、これは重なって押しつぶされた溶岩のようにも思えます」

なるほど、そういう部分に着目するのですね。

以前から不思議だった崖の色の違いについて。

「黄色い部分(けっこう広範囲)は高温のガスによる変質の可能性があります。この黄色い部分全体がマグマや火山ガスの通り道だったのではないでしょうか?」

なあるほど~。
言われてみれば、黄色い崖と赤い崖の中間には、両方入り交じった色使いの崖があります。

ガスが抜けていった部分が黄色くなっているという考え方は、とてもイメージしやすいです。

ということは、この目の前の風景も…

なんだか推理小説の謎解きを楽しんでいる気分になってきます。

“黄色い崖”から“3色の崖”を経てさらに奥に歩いて行くと、やがてあたりは“赤と黒の崖”に変化します。

黒い部分は出口を求めて地下から上がってきたマグマが、冷えて固まったもの。もともと熱々の溶岩が降り積もって赤くなっていたところに、さらに下から板状のマグマが何本も上がって来たのだから、数10万年前のこの辺りは、想像を絶する風景だったことでしょう。

そんな中で…
「あ、これかわいい~。」と嶋田。

確かに、大迫力の景色の中の黒い小さな山…かわいいです。
(砂の下の部分は、もっと大きいのかもしれませんけれど…)

赤い崖には、白いクリスタルな塊(たぶん斜長石の結晶)がたくさん混ざっていました。
大きいものは、このサイズです。

結晶が大きくなるためには地下のマグマだまりなどで、ゆっくり時間をかけて成長する必要があるようです。

「と言うことは、この溶岩が出てくる前は噴火のない時期が長く続いて、地上の生き物達も平和に暮らしていたかもしれないなぁ。」目の前の崖から過去の風景を思い描く遊びは、とっても楽しいです。

知識がない時は訳が分からなかった風景も、何度か専門家の方達と歩くうちに少しずつ自分たちで楽しめるようになってきました。

以前だったら「この黒くて太い溶岩、なんだろう?」と思っていたはずのものが「これって板状の岩脈の真ん中が崩れたんだよね。」と、みんなで言い合えるようになりました。

ちょうど本を、表紙を手前にして壁に立てかけて真ん中をベリベリっと破いたように…見えませんか?(笑)

火山と海と風雨と太陽の合作の風景は…


短い周期で変わっていく風景でもあります。

崩れたり、砂が動いたり、地球が動いているから景色もどんどん変わっていきます。

大地を押し広げ、地上を目指したマグマの前で記念撮影。

人間に比べて、あまりにも大きな「噴火」という地球の営み。
その大きさを肌で感じられる景色の中で、普通なら見ることも触ることもできない“マグマ”と並んで記念写真が撮れるなんて…幸せです!

ところで福島さんは、今回のセミナーの中で「知識が増えると、より楽しめる」と語っていました。
これ、全くの同感です。

“桜島の火山の迫力”と“知識を増やして想像することの楽しさ”を語った福島さんのスピーチ(今回のセミナーとは違います)が、以下に公開されています。
http://tedxtalks.ted.com/video/Daisuke-Fukushima-at-TEDxSakura
とてもわかりやすく面白いので、ぜひ一度ご覧ください。

また福島さんは、国内でもっとも活発な火山である桜島全体をミュージアムに見立て、体験型観光&教育に10年以上尽力されて来た方でもあります。

地元の自然や歴史文化、人の暮らしの中から“宝物”を探し、それを多くの人に楽しんでもらって地域活性化を目指すという、ジオパークとほとんど同じに思えるエコミュージアムのコンセプト。

一昨日のセミナーの時、福島さんに「エコミュージアムとジオパークの違いは何ですか?」と聞いてみました。その回答は…

「エコミュージアムは様々な活動がバラバラな方向に向かうことがあるが、ジオパークは中心にジオがある点。また、エコミュージアムは進めていくとどんどん深く、マニアックになていくが、ジオパークは日本各地、そして世界とつながることができる点。」と2つの“違い”をあげてくれました。

10年以上におよぶ「まさにジオパーク」という活動を実践してきた方の言葉は、説得力がありました。
「ジオパークは、外とつながることができる」…これって、まさに!

今回の一連の講習もそうですけれど、タフで好奇心旺盛で、まじめ(地球人として!)で楽しい、日本各地のジオパーク関係者と、ジオをベースに知り合えること自体がスゴイです。

福島さん、2日間ありがとうございました!

いつか桜島に行きますね~。

しかしジオパークやっていると,行きたい場所が増えすぎる…笑。

(カナ)







コメント (3)
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