グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

室戸ジオパーク報告3「私たちの目指すガイド像」について

2015年12月08日 | 火山・ジオパーク
室戸ジオパーク2日目の14時~17時。

室戸ガイドの会の皆さんに、JGN全国大会ガイド分科会でまとめた「私たちの目指すガイド像」8項目について議論の経過をお伝えし、皆さんの意見を聞きました。

室戸ガイドの会には約40名の会員がいて、実働しているのは約20名。室戸岬はほぼ毎日ガイド依頼が入り、昨年1年間で1万人のお客様を案内したとのこと。

この日も10名以上が参加されていました。

事前アンケートやJGN全国大会当日の話し合いの結果、「たたき台」文章が変更された箇所を、赤で示しました。

全国大会では「物語」が何を示すのかわかりにくいという意見から「大地と人と自然のつながり(ジオストーリー)」という具体的な内容を示す言葉が入りました。

また「地域の人々の協力」や「知識に裏付けされた引き出しを増やし」という素敵な言葉が加わったことは、全国のガイドさんが活動を続けてきた結果だと思いました。

室戸のガイドさんからは「知識ではなく、いかに相手の心に伝わるか。『楽しかった』と言われたら最高」という、「同感!」な発言がありました。


全国大会では「お金を払う価値がある」に違和感を感じる人が複数いて「参加する価値がある」に変更になりました。

室戸のガイドさんからは「『参加する価値』だと曖昧。ガイドがいることでただ見るのとは全然違う、いずれ『お金を払う価値がある』に変わっていくと良いと思う」という意見が出て、年間1万人というお客様を対象に、みんなでガイド経験を積み重ねてきた室戸の皆さんならではの言葉だなぁと思いました。

ちなみに、現在室戸では、30分~2時間のガイドが多く、お客様1人から\900のガイド代をいただいているとのことです。


全国大会では「地球なんて難しくて伝えられない」という意見が出ていましたが「ジオガイドなら地球を語るのは大切なこと」という意見もあり「地球」という言葉は残りました。

室戸のガイドさんからは「地球全体の話をするのは簡単。地球の動きやプレートの動きで説明できる。室戸を通してどう広げていくかということ」と言う意見が出て、これも「同感!」でした。

地震の度に海から新しい大地が生まれる室戸のガイドさん達は、私と同じように「地球が生きているから(プレートが動いているから)地震や噴火がおこり、人も他の生き物もその上で生きている」という“思い”を持ってガイドをされているのだろうと思いました。


全国大会では「12歳の子ども」や「地学の勉強を全く覚えていない大人」の表現に違和感があると言う意見が多く「お客様の知識や興味に応じて、理解できる言葉で…」という、広く当てはまる言葉が使われることになりました。

また少数ではありますが「専門用語を使った方が良い。新しい知識を覚えるのは楽しい」という意見も出ていました。この件に関しては長くなるので、また別の機会にまとめたいと思います。

ところで、室戸では「むずかしい言葉をいうのはやめましょうキャンペーン」というものを3年前にやっていたのだそう。室戸のガイドさんの「年代と専門用語を使うのは一番簡単。かみくだいて伝えるのは本当に大変なこと」という言葉に、心から共感しました。


全国大会では「インタープリテーション」という言葉がわかりにくいということで「通訳者」などの日本語も候補にあがったようでしたが、結局今年の文章からはカット。

室戸のガイドさんからは「講座を受けて学んでも、どうガイドして良いのか結びつかなかったが、前回インタープリティーションを学び全貌が見えてきた」という意見が出ていました。

ジオガイド養成講座などでは、知識だけでなく、このような「伝え方」も必修項目として組まれるようになると良いなぁと思います。


全国大会では「興味を持たせる工夫」のところで具体的な内容を話しあったようですが、特にあまり変更はありませんでした。


全国大会で「起こりえる危険を予知、予測し…」という言葉が加わったのが素晴らしいです。

室戸のガイドさんからは「雷の時の対処方法を知りたい」旨の質問がありましたが、雷だけは苦手で、できるだけ早く車に戻ります。


「また来ます」と言ってもらえる…いいですね!嬉しい言葉ですね~!!

室戸のガイドさんからは「雨で景色が見えないと、とてもがっかりされる『また来るから』と言ってくれるのは生活に余裕がある人。多くの人はなかなか来られない。それが現実」という発言がありました。 

「室戸には、雨の日にしか見られない風景はないかなぁ?」…と思ったので、聞いてみました。事務局の古澤さんがとても面白い話をされていたのですが、自分の手書きメモが読み取れず(^_^;、再度メールで聞いてみました。川の話をされていたような気がしたのですが、なんと瓦のお話でした(^_^;(^_^;

「室戸は雨が多く風も強いので水切り瓦と左瓦・右瓦というものがあり、工夫して作られ使われてきた。(以前養成講座に参加したガイドさんのブログhttp://muroto-geobito.sblo.jp/article/90004971.html)」

「吉良川のまちなみは、雨の日に行ったら、水切り瓦がどう機能しているかも実際に見ることができるし、風もあって雨が吹きこんでくるようなときには、左瓦・右瓦の工夫も、雨や風の流れを感じながら見ることができるのでは?」というお話だったようです。

大型台風が上陸する室戸…昔からの風雨に対する人間の工夫を見ながら、雨の町並みを歩き、古民家風の建物でお茶でも飲めたら、雨の日でも満足して帰れそうです。

室戸ジオパーク、本当に楽しいです!

室戸ジオパークの皆さんと共に歩き、語り、考えた2日間。
とても中身の濃い、そして暖かな時間でした。

室戸ジオパークの皆さん、ありがとうございました!
(写真に写っていない様々な方との出会いにも感謝です)

またいつか、皆さんに会いに行きますね。
これからもよろしくお願いいたします!

(カナ)


コメント
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