グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

「専門用語」について思うこと。

2015年12月11日 | 火山・ジオパーク
ジオパークの全国大会などで、よく話題になるのが、ガイドの際の『専門用語』についてです。
今年の霧島大会でも「新しい知識を覚えることは楽しい。だから専門用語を使うべきだ」という意見が出ました。

みなさんは、どう思いますか?

私はここ数年はガイドの時に、玄武岩、アグルチネート、岩脈、外輪山などの言葉は、
ほとんどと言って良いほど使わなくなりました。

でも、私も最初の1年ぐらいはこれらの言葉を使ってガイドしていたのです。
使っても、お客様はツアーを楽しんでくれているように思っていました。

ガイドの前に「3つだけ専門用語を覚えてください」なんて言ってガイドに行っていたのを思い出します。

そんな私が衝撃を受けたのは、ある雑誌に載った記事を読んだ時でした。
私がガイドとして取材を案内した時の記事には…

…と、書かれていたのです。
記者の方は、私が使った専門用語を書き留めて、正確に表現してくれたのだと思います。

もしあの時、私が一切専門用語を使わずに案内していたら…
記者の方が回りを観察し、感じたままを表現してくれていたら…

記事はこうなっていたかもしれません。

大島を全く知らない一般の人が、行ってみたいと思う文章はどちらでしょう?

「ジオパークの楽しさを広めていくためには、専門用語を使ってはダメなんだ」と痛感した出来事でした。

しかし専門用語を使わずに「正確でわかりやすい表現」を探すのは、とても大変です。
たとえば、海に突き出た黒い岩を「火道」と言わずに何と呼ぶか?

パンフレットを作る時、専門家の方にもグループに加わっていただきながら、本当にいっぱい議論して言葉を探したことを思い出します。

溶岩が流れる時の音も、大島に多い「スコリア」と呼ばれる穴だらけの黒い小石をどう表現するかも、専門家の方々におつきあいいただきながら、ずいぶん議論をした思い出があります。それでもまだ、完成された訳ではありません~(先は長い!)

自分なりに文献を読んで、自分なりの言葉で表現してみて、それを専門家の方に正確さの点で許容範囲か確認してもらいアドバイスをもらう、お客様の質問やセンスの良い表現から学ぶ、等々…今、私がガイドで使っている表現は、たくさんの人に作ってもらったのだと感じています(感謝)

そしてガイドが、お客様に「知識」を教えたいのか、それとも「地球の面白さ、不思議さ」をお客様と一緒に楽しみたいのかで、ガイドの仕方は異なると思っています。

大島が「玄武岩質成層火山」であることを学んでほしいのか、それとも「波とせめぎ合う若い火山の島の物語」を楽しんでほしいのか…

私は後者を目指して、ガイドを続けていたいなぁと思うのです。

聞いただけの知識は、その後の生活に関連がないと忘れてしまうことが多いけれど、感動したことは覚えているし、それが自ら学んでいくきっかけにもなると思うからです。

まだまだ書きたいことはありますが…今日のところはこれで。

(カナ)









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