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北森鴻著「桜宵」講談社文庫版を読んだ

2010-06-15 22:08:50 | 経営
短編ミステリー集、ここには表題となっている「桜宵」を含め5作品が収蔵されている。
表題の「桜宵」の冒頭を書きうつす。
東急田園都市線三軒茶屋駅から世田谷通り沿いに、アーケードを二十メートルばかり進んだところで、神埼守衛は立ち止った。上着の内ポケットから一枚の紙を取り出すと、そこに書かれた簡単な地図を確かめ「ここから通りを一本はずすのか」と呟いた。
その肩に、どこから飛んできたものか一枚の花びらが、降りかかった。
さらに一枚。
――-桜・・・・・か。
以下は文庫を手にお読みいただきたい。
三軒茶屋をしるものならそこがどんなところかは分かる。知らないものでも世田谷通りということで東京は世田谷に近いところということで何らかのイメージを読者に与える。
その町のアーケードを歩いている者の肩に桜の花びらが降りかかる、わけがない。しかし作者はこの場所で桜の花びらを物語の主人公の肩に置いている。あり得ないことを描くことで、これ以降の物語の進行になにかミステリアスな雰囲気を冒頭の部分だけで表現している。
すこしだけ補足すると主人公と書いたが実は本当の主人公はビヤバーのオーナーバーテンダー。このバーテンダーがいい。あわせて伏せん的な渋谷のストリート占い師も興味をひかれる。
この作者を私はしらない。店頭で文庫本を手にして、この冒頭だけで魅了された。読みすすんでみると確かな物語の構図、それを描く進行の方法、そして描写力ともに的確で、冒頭の文章でえた感想を裏切らないものであった。あとで調べてみると知らないのは単に私の不明の至りであった。短編ミステリーの第一人者であるがすでに鬼籍に入っている作者として驚き、かつ、いままでしらなかったことを悔いることとであった。
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