チャンドラーの中に出てくる、ご存じ、フィリップ・マーロー、日本でもファンが多い。
チャンドラーは大きな威厳のあるしかも女離れした中年の女をこう描いている。
「チャンドラー短編全集2・事件屋稼業・創元推理文庫」の冒頭を引用してみる。ちょっと長いです。
「アンナ・ハイゼルは体重約240ポンド(約110キロ)の顔色の冴えない中年女で、黒い男仕立てのスーツを着こんでいた。目は黒い靴ボタンのようにきらきら光り、頬は牛脂みたいにやわらかく、色合いもそっくりだった。一見ナポレオンの墓のような黒いガラス張りのデスクを前にしてすわり、きしっと巻いた蝙蝠傘とも見えかねない長さの黒いホルダーでたばこを吸っていた」って、どんな女だろう。
110キロもある中年の女が黒い男物のスーツを着ているですと、
森久美子さんが黒い男物のスーツを着ている姿か。顔色は冴えないけど目は輝いている(しかも靴ボタンって何?)頬はどうやら柔らかそう(そうだろう、110キロもあれば)。
わからないのがナポレオンの墓のようなデスク、どんなんだ、ナポレオンの墓って?でも、英雄ナポレオンの墓だ、なんか大きいそう、重厚な感じ。
そこに座って長いキセル(ホルダーってキセルだよな)でたばこを吸っているだと。
「その彼女が、
『男がほしいんだよ』
といったものだ。」
どんな男が欲しいんだ?なんのために?
これで、この短編の続きが読みたくなる。
本が読まれなくなった。
けれど、こういう本をこう読むと面白い。
でも介護で仕事をするには文章の読解力、文書作成力は欠かせない。
本に親しむことがその力をつける1つの方法だろう。