介護報酬を充実することを求める意見もあるが、なにをどう充実するのかの提示がない主張はあいまいとの指摘を免れない。まさに介護に間接的に関わるステークホルダーを意識していない主張と思う。
他の産業に比べて給与が低いので介護職員の離職が多いので介護報酬を改善すべきとしきりに主張される研究者がおられる。給与は業務に対する対価であり、離職防止は処遇全般の改善で行っている他の産業人にするとこうした介護関係の研究者の主張は乱暴な趣がある。
介護保険制度の保険給付を受給している600万人、くわえて従事している200万人だけでなく、財政面で関わる1億1千万人以上の国民と法人にも制度運用の意義を説明する必要があるが、ドラッカーが説くマネジャーの説が介護にも通用することからも介護関係者だけの議論に終始することは許されない。
ドラッカーの説明が居宅介護支援にも通じることから、ほかの分野から介護の感覚を見直すことも有意義かと思う。もしかすると別の分野での話を援用することで居宅介護支援がよりよくわかるのかもしれない。
投下資本以上の価値創造を実現することと目の前にある課題と将来ビジョンを調和させるのがマネジャーだというドラッカーだが、介護サービスを利用してその介護以上の成果をもたらされるようにし、いまある課題を解決して短期目標を達成するように仕向けるのが介護支援専門員だと理解するこができるだろう。
ドラッカーがいう「組織の成果に責任を持つ者」というマネジャーを介護支援専門員になぞらえるならば居宅サービス計画によって組み立てた支援とその関係者によって要介護高齢者の支援の成果に責任を持つ者と理解できる。
介護支援専門員の業務についてはいわゆる基準にことこまかに書かれているが、詮じると「考えること」と「コミュニケーション」に尽きるのだろうが、ドラッカーによると経営のマネジャーは「組織の成果に責任を持つ者」であって、投下資本以上の価値創造を実現することと目の前にある課題と将来ビジョンを調和させることだという。これは介護支援専門員のことにも通じる。
今回の事案では無理だが、理屈に合わない苦情を繰り返し行われたことで日常の業務に支障が生じるようなときには「威力業務妨害」で相談したい。こちらが正しいことを行っておれば介護だからといって常識に悖る苦情にまで応じる必要はないと考える。
クレームの訴えは事の始まりから、いつどこで誰が誰に何をいい、どうしたかを、とにかく記録に留めることがことの解決に欠かせない。言った言わないでもめることを回避し、言った内容を変えられないために欠かせない。同時に今後の改善に役立てるためにも欠かせない。