浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

赤いバラ

2013-09-14 22:43:04 | 日記
 夕方畑に行った。今日は、たくさんの人が畑に出ていた。ナスをとる人、芽が出たばかりのニンジンをビニールで覆ってる人など、皆忙しく働いていた。

 天気予報は、この地方に台風が来ると知らせている。台風の進路から考えると、海の塩を一杯含んだ風が吹く。すると、夏野菜やニンジンの苗は、おそらく枯れてしまう。それを予想して、今日、たくさんの人が畑にでたのだ。

 ボクも、大きく成長した棉花が倒れないように支柱をしっかりと立ててきた。しかし、支柱があっても、おそらく倒れる。

 ところでボクは、16日に台風が来るというが、来てもらいたくはないと思っている。16日は、90年前、大杉栄・伊藤野枝・橘宗一が国家権力に惨殺された日である。墓がある静岡の沓谷霊園で墓前祭を挙行することになっている。そしてそのあと、追悼集会をもつ。

 台風が荒れ狂う中、墓前祭をやらなければならないのだろうか。

 国家権力の暴威によって殺された三人が、今凶暴な姿を現し始めている、その暴威をボクたちに知らせようとしているのだろうか。「オマエタチハソノ暴威ニタチムカウコトガデキルカ」と。

 それとも、墓前祭・追悼集会を主催する者らに苦労をさせたくないとして、台風の進路を変えてくれるのだろうか。

 いずれにしても、16日という日は絶対に変えられない。たとえ嵐が来ようとも、猛暑が続いていようとも、そして参加者が少なくても、何があっても9月16日は、大杉ら三人の惨殺を想起しなければならないのである。あるいは、惨殺したその時代を振り返らなければならないし、同時に、「今」という時代を考えなければならないのである。

 16日の準備は整っている。墓前祭では、赤いバラを献花することにした。赤いバラの花言葉は「情熱的」「美しさの象徴」だという。

 まさに、大杉も野枝も、情熱的にそれぞれの生を生きた。
 
 そして赤いバラが「美しさの象徴」であるとするなら、その美は「諧調」であってはならない。大杉が言うように、「乱調」のなかに美はあるはずだ。

 16日、赤いバラが、献花台にそっと積まれていくのか、それとも強い風に吹き飛ばされるのか。大杉らは、墓の下で何を思う・・・・?
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辺見庸を読む

2013-09-14 13:02:47 | 日記
 現在に対する透徹した鋭い眼をもつ辺見さんは、「現在」をどうみるか。しっかりと読み込む価値がある。

 『神奈川新聞』の記事。

【時流自流】作家・辺見庸さん「現在は戦時」
2013年9月8日

 喉がしきりに渇いた。喫茶店で向き合った辺見庸さんの問いに、即座に答えられずにいた。

 「現在は平時か。僕は戦時だと思っています。あなたが平時だと思うなら、反論してください。でないと議論はかみあわない」

 安倍晋三政権が集団的自衛権の行使に向け、憲法解釈を変えようとしている。なりふりかまわぬ手法をどう見るか、そう尋ねた後だった。

 「十年一日のようにマスメディアも同じような記事を書いている。大した危機意識はないはずですよ。見ている限りね」。いらだち混じりの口調。低くゆっくりとした声が耳の奥深くに重たく響く。

 「日中戦争の始まり、あるいは盧溝橋事件。われわれの親の世代はその時、日常生活が1センチでも変わったかどうか。変わっていないはずです。あれは歴史的瞬間だったが、誰もそれを深く考えようとしなかった。実時間の渦中に『日中戦争はいけない』と認められた人はいたか。当時の新聞が『その通りだ』といって取り上げたでしょうか」

 ずっと以前に有事法制は通っている。そして集団的自衛権の憲法解釈の変更への傾斜、秘密保護法案…。「今が戦時という表現は僕は必要だと思う」。辺見さんは念を押した。


■堕落
 〈ファシズムとはいかなる精髄も単独の本質さえない〉
 イタリアの作家、ウンベルト・エーコの言葉を辺見さんは引く。

 「日本のファシズムは、必ずしも外部権力によって強制されたものじゃなく、内発的に求めていくことに非常に顕著な特徴がある。職場の日々の仕事がスムーズに進み、どこからもクレームがかからない。みんなで静かに。自分の方からね。別に政府や行政から圧力がかかるわけじゃないのに。メディア自身がそうなっている」

 ファシズムの話は、神奈川県教育委員会が「日の丸・君が代の公務員への強制」に触れた実教出版の日本史教科書を排除した問題に及んだ。

 「あれは県教委が高校に圧力をかけ、特定の教科書の不採用を押し付けているだけの話ではない。言いぐさがすごい。『強制』ではなく『責務』だ、と。その論法にあなた方はどれだけ反論しましたか。堕落してますよ。あいつらも、新聞も」

 クラシックが静かに流れる店内に長い沈黙が続いた。「ガガーッ」というコーヒー豆をひく音に、記者はびくっとした。

 例外を認めず、従わぬ者を監視し、氏名を集め、報告する社会。「強制っていうのは身体的強要を伴う。起立させ、歌わせる。人の内面を著しく侵している。これがファシズムでなくてなんですか」


■転覆 
 橋下徹大阪市長の従軍慰安婦発言、在日外国人への罵詈雑言、麻生太郎副総理のナチス発言。「無知」で「醜い」ことが立て続けに起きている。

 インタビューの最中、辺見さんは何度も「ディストピア」という言葉を口にした。ユートピアの反対語で「暗黒社会」だ。

 レイ・ブラッドベリの『華氏451度』、ジョージ・オーウェルの『1984年』などがディストピア小説として知られる。

 「華氏451度の世界では、本を読むことが禁止されている。そこで人間が記憶する歴史は数年だ。スポーツが奨励され、深く考えないことも奨励されている。まさに今です」

 植民地支配と侵略の責任を認めた「村山談話」の継承を否定してみせた安倍首相の歴史認識。辺見さんは「歴史の修正ではなく、歴史の転覆だ」と言う。

 「平和性を自己申告して、千数百万人から2千万人が殺されたアジアの人たちの誰が信用しますか。好戦的な国か、平和な国かは他の国が決めること。旭日旗に対する恐怖は彼らに焼き付いている。相手の恐怖に対する想像力を著しく欠いている」

 首相や閣僚、首長の歴史転覆発言。福島第1原発の汚染水が垂れ流される中でのオリンピック誘致の狂騒-。華氏451度の世界そのものだ。


■虚無
 ディストピア小説で予測されたのは全体主義だった。だが、誰も予測しなかった恐ろしいことが今、起きているのではないかと辺見さんは危ぶむ。「虚無社会です。人の内面も空虚になっているのではないか」。忖度、斟酌、皆一緒。言葉を脱臼させ、根腐れさせるシニシズムがはびこる。進んで不自由になろうとする社会に、どう抗えばいいのか。

 「個として、戦端を開いていくべきだ」。辺見さんは力を込めた。

 「違う」と声を荒らげることが、むなしいこと、かっこ悪いことという空気が醸される中で、一人で怒り、嫌な奴をぐっとにらむ。

 「自由であるためには孤立しなくちゃいけない。例外にならなくてはいけないんです」。例外を認めず、孤立者を許さない。それがファシズムだからだ。

 インタビューを終え、横浜に戻る。右翼の街宣車が朝鮮学校への補助金を止めるよう、甲高い声でがなり立てる。野球観戦に向かう家族連れがその横を歩く。飲み屋の明かりに背を向け、痩せこけた白髪の路上生活者が段ボールの上でくの字に体を縮めている。

 見えて聞こえていたのに、やりすごしていた日常が、突き刺す風景として立ち上ってきた。

 取材の2日前、辺見さんは都内で「死刑と新しいファシズム」と題した講演を行っていた。前売り券は売り切れ、聴くことができなかった。

 人でありながら人でなく、絶えず監視される死刑囚の状態を「禁中(宮中)と似ている」とし、その内側を知ろうとしないわれわれ。「日本はあらかじめファシズムの国」なのではないか-。

 辺見さんはそう語ったと、後日届いたメールで知った。


◆ファシズム
 広義には第1次世界大戦後、世界の資本主義体制が危機に陥ってからイタリア、ドイツ、日本などに出現した運動や支配体制を指す。全体主義的、権威主義的で議会政治の否認、一党独裁、市民的・政治的な自由の極度の抑圧、対外的には侵略政策をとるのが特色。合理的な思想体系を持たず、もっぱら感情に訴え、国粋的思想を宣伝する。

●へんみ・よう
 1944年宮城県生まれ。70年、共同通信入社。初任地は横浜。北京特派員、ハノイ支局長、編集委員などを務める。78年、中国報道で新聞協会賞。91年「自動起床装置」で芥川賞、94年「もの食う人びと」で講談社ノンフィクション賞。96年退社。2011年、詩文集「生首」で中原中也賞。近著に小説「青い花」。
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秘密保護法への反対を強めよう!!

2013-09-14 12:52:17 | 日記
 この問題については、さすがに新聞業界も反対している。『毎日新聞』もこの記事で重要な指摘をしている。

クローズアップ2013:秘密保護法案 「定義」、行政裁量で 外部チェックのすべなく
2013年09月14日


秘密保護法案のポイント=2013年9月14日
拡大写真 国の安全や治安に関わる重要情報の漏えいに厳罰を科す「特定秘密保護法案」の概要が公表された。何を「秘密」とするかは行政側の裁量で決められ、公務員だけでなく「秘密」を取得した民間人も処罰対象になる。罰則も最長懲役10年を想定されている。情報公開とは逆行することも想定され、国民の「知る権利」を侵害する恐れも指摘されている。

 ◇外部チェックのすべなく
 法案は、同盟国などと安全保障情報を共有するため、情報流出を防ぐのが狙いだ。米国が日本に求めていた。

 「防衛」「外交」「安全脅威(スパイ)活動の防止」「テロ活動防止」の4分野で、秘匿の必要が特に高い情報が「特定秘密」に指定される。

 内容は分野ごとに項目を列挙。「テロ活動防止」では「テロ活動による被害の発生・拡大の防止のための措置またはこれに関する計画もしくは研究」など4項目を挙げている。具体的に書けば秘密の内容が明らかになるため抽象的だ。どのような情報が秘密なのかも外部には分からない。

 秘密を扱うことが想定されるのは、省庁の政務三役や防衛省、外務省、警察庁、都道府県警察の職員。それに防衛産業など官庁と契約を結んだ会社の社員らだ。政務三役を除き、渡航歴や家族の国籍、犯罪歴、借金、薬物中毒の有無、精神科病院への入通院歴などを申告し、チェックを受ける。

 「秘密」の内容を、厳罰を設けてまで秘密にするものかどうかのチェック機能はない。

 米国では大統領が安全保障などに関する機密を指定する。だが、機密の指定と解除、さらに内容をチェックする仕組みが明確になっている。米国立公文書館にある情報保全監察局が適切な機密指定かどうかを見極める責務を負い、局長には機密の解除請求権が与えられている。

 これに対して、今回の特定秘密保護法案では、防衛相や外相、警察庁長官らが指定し、解除の必要性も行政機関に委ねられている。外部チェックが想定されていないのだ。

 秘密の指定期間は5年が上限だが、再指定の回数の制限はない。何度も指定を続ければ永久に秘密にすることも可能だ。自民党のプロジェクトチーム座長を務める町村信孝元外相も「考えるべき事項だとは思う」と話す。

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under control

2013-09-14 12:43:18 | 日記
安倍首相は、オリンピック招致のために「ウソ」をついた。マスメディアの批判がイマイチだと思ってはいるが、事実が「ウソ」であったことを証明している。

 まず『東京新聞』記事。

 汚染水制御 東電幹部が首相発言否定 政府、沈静化に躍起
2013年9月14日 朝刊

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十三日午後の記者会見で、東京電力幹部が福島第一原発の汚染水問題を「コントロールできていない」と発言したことに関し、「貯水タンクからの汚染水漏れなど個々の事象は発生しているという認識を示したものだ」と説明した。同時に「放射性物質の影響は発電所の港湾内にとどまっている」と、状況は制御されているとの考えを強調した。

 菅氏が、東電幹部の発言の釈明に努めたのは、安倍晋三首相が二〇二〇年東京五輪招致演説で「状況はコントロールされている」としたことと食い違うため、事態がさらに深刻になりかねないと判断したためだ。

 東電も十三日午後、菅氏の会見内容と同様のコメントを発表。「影響が外洋に及ばないようしっかりと対策を講じる」とした。

 ただ、東電幹部が首相発言を全面否定しただけに、混乱が簡単に収まるはずがない。

 民主党の海江田万里代表は十三日、汚染水問題について「コントロールできていないのが事実だと思う。重大な問題だ」と強調。首相の認識をただすため、閉会中審査の速やかな実施を要求。政府・与党が十月中旬の開会を想定する臨時国会の前倒しも求めた。

 汚染水問題について、東電の山下和彦フェローは十三日、民主党の原発事故に関する対策本部の会合に出席。「今の状態はコントロールできているとは思わない」と述べた。


 次に、TBSの報道記事。

タンク周辺の地下水、13万ベクレルのトリチウム検出

 福島第一原発でタンクから高濃度の汚染水が漏れた問題で東京電力は、タンクの周辺で採取した地下水からこれまでで一番高い1リットルあたり13万ベクレルのトリチウムが検出されたと発表しました。

 汚染水が漏れたタンクの周辺の地下水からこれまでに1リットルあたり9万7000ベクレルのトリチウムが検出されていましたが、東京電力は13日、さらに高い1リットルあたり13万ベクレルのトリチウムが検出されたと発表しました。濃度の上昇は、連日続いていて、トリチウムの濃度はこの4日間で30倍以上に上昇しています。

 漏れた汚染水が地下水に達した可能性が一段と高まっていて、今後の汚染水対策にも影響が出る可能性があります。(14日02:33)


 さらに『毎日新聞』記事。

福島汚染水:排水溝から水、濃度が上昇
毎日新聞 2013年09月14日 11時39分(最終更新 09月14日 12時07分)


福島第1原発のH4エリアで、汚染水漏れを起こしたタンク(右から二つ目奥)を視察する安全監視協議会のメンバー=2013年9月13日(代表撮影)
拡大写真 東京電力福島第1原発の地上タンクから汚染水約300トンが漏れた問題で、東電は14日、漏れがあったタンクに近く、海につながっている排水溝から13日に採取した水から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり3000ベクレル検出されたと発表した。

 東電によると、漏れた300トンは土壌に染み込んで拡散したと見られている。12日に同じ排水溝で採取した水からは、同2400ベクレルを検出していたが、これより上昇していた。

 また、この採取地点よりもタンクに近い排水溝から13日に採取した水は、同940〜860ベクレルだった。これまでは同500〜40ベクレルだった。東電は「溝の中の土砂の除去作業を進めている影響」とした。海への流出については「否定できない」としている。【鳥井真平】
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 これがコントロールされていると言えるのか。断じて!!
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紹介 藤原紀香さんの発言

2013-09-14 12:36:20 | 日記
 「藤原紀香が「秘密保全法」への危機感 ブログでの勇気ある発言をたたえたい」というブログを読んだ。以下のサイトだ。


http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130914-00028103/

http://www.norika.ne.jp/cgi-bin/spdiary-j.cgi?id=7&file=201309

 そういえば、『中日新聞』も社説で、秘密保全法について警鐘を鳴らしていた。
 反対の声を強めていきたい。

秘密保護法案 軍事国家への入り口だ
2013年9月13日

 政府が進める秘密保護法案は、国が恣意(しい)的に情報統制を敷く恐れがある。「知る権利」と真正面から衝突する。軍事国家への入り口になってしまう。

 自由や人権などよりも、国の安全保障が最優先されるという思想が根底にあるのだろう。政府が公表した秘密保護法案の概要を見ると、そんな印象を強く持つ。

 かつて検討された法制と異なるのは、特段の秘匿が必要な情報である「特定秘密」の事項だ。(1)防衛(2)外交-は同じだが、「公共の安全および秩序の維持」の項目を(3)安全脅威活動の防止(4)テロ活動の防止-と改めた。

◆情報隠しが横行する
 公共の安全や秩序維持の文言は、社会のあらゆる活動に投網をかけると強く批判されたため、今回は変形させたのだろう。

 それでも問題点は山積だ。まず、特定秘密の指定範囲である。行政機関の「長」が別表で指定するが、中身があまりにも茫漠(ぼうばく)としている。防衛については十項目あり、「自衛隊の運用」が最初に規定されている。「運用」の言葉だけでは、どんな解釈も可能だろう。防衛相は恣意的に特定秘密のワッペンを貼り、さまざまな情報を国民の目から覆い隠せる。

 現行法でも昨年末時点で、防衛秘密の指定事項は二百三十四件にものぼる。秘密文書も膨大となり、一昨年末では約八万三千点が隔離された状態だ。

 外交分野でも同じだ。例えば「安全保障に関する外国政府との交渉」と別表に漠然と書かれているため、外相はいかなる運用もできよう。違法な情報隠しすら行われるかもしれない。

 ある情報が特定秘密に本当にあたるかどうか、国会でも裁判所でもチェックを受けないからだ。形式的な秘密ではなく、実質的な秘密でなければならないが、その判断が行政の「長」に任されるのは、極めて危うい。

◆「知る権利」への脅威だ
 安全脅威やテロの分野も解釈次第で、市民レベルの活動まで射程に入る恐れがある。

 言い換えれば、国民には重要でない情報しか与えられないのではないか。憲法は国民主権の原理を持つ。国政について、国民が目隠しされれば、主権者として判断ができない。秘密保護法案は、この原理に違背するといえよう。

 憲法には思想・良心の自由、表現の自由などの自由権もある。政府は「国民の知る権利や取材の自由などを十分に尊重する」と説明しているものの、条文に適切に生かされるとは思えない。

 特定秘密を取得する行為について、「未遂、共謀、教唆、扇動」の処罰規定があるからだ。あいまいな定めは、取材活動への脅威になる。容疑がかかるだけでも、記者やフリーランス、市民活動家らに家宅捜索が入り、パソコンや文書などが押収される恐れが生じる。少なくとも、情報へのアクセスは大きく圧迫される。

 「取材の自由」はむろん、「知る権利」にとって、壁のような存在になるのは間違いない。政府は「拡張解釈し、基本的人権を侵害することがあってはならない」旨を定めると言うが、憲法で保障された人権を侵してはならないのは当然のことである。暴走しかねない法律だからこそ、あえてこんな規定を設けるのだろう。

 驚くのは、特定秘密を漏らした場合、最高で懲役十年の重罰を科すことだ。現在の国家公務員法では最高一年、自衛隊法では五年だ。過去のイージスシステムの漏洩(ろうえい)事件では、自衛官に執行猶予が付いた。中国潜水艦に関する漏洩事件では、起訴猶予になった。現行法でも対処できるのだ。重罰規定は公務員への威嚇効果を狙ったものだろう。

 そもそも誰が特定秘密の取扱者であるか明らかにされない。何が秘密かも秘密である。すると、公務員は特定秘密でない情報についても、口をつぐむようになる。ますます情報は閉ざされるのだ。

 しかも、国会の委員会などで、公開されない秘密情報も対象となる。つまり国会議員が秘書や政党に情報を話しても罪に問われる可能性がある。これでは重要政策について、国会追及もできない。国権の最高機関である国会をないがしろにするのも同然だ。

◆憲法改正の布石になる
 新法の概要に対する意見募集期間も約二週間にすぎず、周知徹底されているとはいえない。概要だけでは情報不足でもある。政府の対応は不誠実である。

 米国の国家安全保障会議(NSC)をまねた日本版NSC法案も、秋の臨時国会で審議される予定だ。集団的自衛権をめぐる解釈も変更されかねない。自衛隊を国防軍にする憲法改正への道だ。

 秘密保護法案はその政治文脈の上で、軍事国家化への布石となる。法案には反対する。
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属国日本は、国民の安全を守らない

2013-09-14 12:31:53 | 日記
 『琉球新報』の社説である。こういう不当なことを平気で行う日本国家(検察)。日本には正義はない。すくなくとも、正義はアメリカの許容範囲のなかでのみ存在する。

 尖閣諸島など、日本の国益について騒ぎ立てている諸君は、こういう事実をどうみるのか。まさに国辱ものである。許せない!!!

2米兵不起訴 暗黒社会招く不正義だ2013年9月14日


 この国は正義が実行されない社会になってしまったのか。ことし5月に長崎県佐世保市で日本人女性に性的暴行を加えたとして書類送検されていた米兵2人について、長崎地検は嫌疑不十分で不起訴処分にした。「起訴するに足りる証拠がなかった」と説明するが、十分な捜査をしているとは言い難く、強い疑問が残る結論だ。

 この事件を捜査した長崎県警は米兵2人の身柄引き渡しを米側に要求していない。逮捕せずに任意で事情を聴いた上で書類送検した。日米地位協定では米軍人、軍属の身柄が米側にある場合は、起訴までは日本側に引き渡さないことを定めている。しかし1995年の日米合同委員会合意で、殺人、強姦(ごうかん)などの凶悪犯罪は起訴前の身柄引き渡しについて米側が「好意的考慮を払う」ことになった。

 今回の事件は日米合意に該当する。不平等な地位協定に限定的といえ風穴を開けた権利すらも行使しない警察の姿勢は、加害者側に立っているとしか思えない。

 米兵2人は佐世保基地内にとどめられていたが、拘禁状態にあったのかは不明だ。証拠隠滅や連絡を取り合って口裏合わせをすることさえ可能だったと疑わざるを得ない。過去に県内で発生した強盗致傷事件では、禁足中の兵士同士が基地内で会っていた。検察は公判で「口裏合わせをしていた可能性が高い」と批判した。それなのに長崎地検は今回の事件で引き渡しを要求しなかったことについて「影響はない。必要な捜査は遂げた」と説明する。何の根拠をもって遂げられたと言えるのか。全く説得力がない。

 1953年の日米合同委非公開議事録で、日本側代表が「(米兵の事件なら公務外でも)特に重要な事案以外、日本側は第一次裁判権を行使するつもりはない」と発言し、法務省は同じ年に全国の地検に対して「重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」と通達している。今回の長崎地検の結論をみると、この密約と通達に従って裁判権を事務的に放棄したとしか思えない。

 日本の捜査機関は国民の生命財産を守らず、加害者を無罪放免にすることをこれからも続けるのだろうか。これでは不正義がまかり通る暗黒社会ではないか。基地の集中する沖縄にとって、被害者側に立っているとは思えない今回の結論は到底容認できない。
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