『改造』1923年11月号の特集「大杉栄追想」の全編を掲載した本。1000円という値段だが、それ以上の価値がある。大杉栄という人間に接していた人々が、大杉という人物をどう捉えていたのかが記されていて、それによって大杉という人物がいかなる人物であったのか、を探ることができる。
総勢16人の文が並んでいる。書き手も個性があるから、それぞれが個性的な文だ。個性的ではあるが、共通しているのは、大杉はこれらの人にとても愛されていたということがわかる。この本に記されている内容は、大杉理解には不可欠のものだと思う。
ボクは、彼の思想的な特質は、大杉自身の人格に全面的によっていて、無政府主義という思想と言うより、大杉の独自的な思想であったといえるのではないかと思う。
そういう大杉の人格を探るとき、周辺にいた人々との交流や、彼らの印象を知ることがとても大切なのだと思う。
ああいう社会であっても、自由に生きた大杉は、一面子どもっぽいところがあるが、他方大人物にしかできないような行動も見受けられる。こういう言い方でいいのかどうかわからないが、要は無鉄砲だと言うことだ。
後先のことを考えないで行動する、ボクもそういう生き方をしたいものだ。いろいろなしがらみが人間にはつきまとっているが、そういうものをいささかも顧慮しないで生きていくということは、自由で、素晴らしいと思う。
ボクは今、とてもきつい10回の歴史講座(毎週1回)を引き受け、七転八倒の苦しみを感じながら引き受けた責任をはたしつつあるが、そのために大いなる自由を失っている。
自由よ、自由よ・・・・