都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
ラ・トゥール展始末記 「図書」9月号
「徒然なるまままに」のak96さんに教えていただいた、岩波書店の「図書」9月号の「ラ・トゥール展始末記」ですが、先日ようやく手に入れて読むことが出来ました。これは、今春に上野の国立西洋美術館で開催された「ラ・トゥール展」を企画された高橋明也氏の寄稿で、氏の展覧会開催へ向けた大変なご努力や、ラ・トゥールとロレーヌ王国のつながりからひも解くそのメッセージなど、とても読み応えのある記事となっています。
真作が非常に少ない中、通例では考えられないほど短い準備期間(一年間)で開催されたというラ・トゥールの展覧会は、私も二度ほど拝見して、その静謐な世界観に大いに感動させられました。(一回目、二回目の感想。)この始末記には、日本では殆ど無名だったラ・トゥールの展覧会を企画すること自体の難しさや、ヨーロッパの各美術館との交渉などが書かれていて、私のような一介の素人美術ファン(?)には、ただただ頭が下がる思いのご尽力をなされたことが良く分かります。もう日本では二度とない展覧会かもしれません。見られたこと自体がとても幸運だったと、改めて思いました。
始末記には、ラ・トゥール展を取り上げたブログについても少々触れられていました。展覧会は、予算の関係上、大々的な広告を殆ど打つことが出来なかったそうですが、氏によればそれを補う形となったのが、メディアによる展覧会の取り上げと、ブログを通した話題の広がりだったそうです。ネットの検索では、開催初日に「ラ・トゥール展」のヒット数が2000件だったのに対して、会期末には2万件ほどと十倍に広がり、その中で「多くの人がこの展覧会とラ・トゥールの芸術について熱く語っていた」(寄稿より。)とのこと。ちなみに、現在同様の検索をすると、yahooで約42000件のヒット数があって、そこには日頃お世話になっているブログの方々のお名前が散見されます。確かにこれは、多くの方がブログを通して情報発信しながら、それを共有しているとも言えます。ブログが、ラ・トゥール展の素晴らしさを伝えた大きなツールになったのは事実のようです。
最後のラ・トゥールについて書かれた箇所には、ラ・トゥールについて「戦乱のチェチェンやボスニアやイラクで制作した画家のイメージ。」という言葉(一部改変)がありました。私はこれまでこうしたイメージを持ったことはなかったのですが、ラトゥールの生きたロレーヌ王国地方の、ラ・トゥール自身と作品が忘却され、そして再評価されるに至った歴史の混沌は、そういった面を伝える要素が多大にあるのかもしれません。一人の希有な画家をこのような視点で切り込むこと。私にはとても新鮮であった上に、深く感銘させられました。
「図書」は定価100円とありますが、書店によっては無料で配布しています。少し前の感動をまた新たにすることが出来る、とても素敵な寄稿だったと思います。
真作が非常に少ない中、通例では考えられないほど短い準備期間(一年間)で開催されたというラ・トゥールの展覧会は、私も二度ほど拝見して、その静謐な世界観に大いに感動させられました。(一回目、二回目の感想。)この始末記には、日本では殆ど無名だったラ・トゥールの展覧会を企画すること自体の難しさや、ヨーロッパの各美術館との交渉などが書かれていて、私のような一介の素人美術ファン(?)には、ただただ頭が下がる思いのご尽力をなされたことが良く分かります。もう日本では二度とない展覧会かもしれません。見られたこと自体がとても幸運だったと、改めて思いました。
始末記には、ラ・トゥール展を取り上げたブログについても少々触れられていました。展覧会は、予算の関係上、大々的な広告を殆ど打つことが出来なかったそうですが、氏によればそれを補う形となったのが、メディアによる展覧会の取り上げと、ブログを通した話題の広がりだったそうです。ネットの検索では、開催初日に「ラ・トゥール展」のヒット数が2000件だったのに対して、会期末には2万件ほどと十倍に広がり、その中で「多くの人がこの展覧会とラ・トゥールの芸術について熱く語っていた」(寄稿より。)とのこと。ちなみに、現在同様の検索をすると、yahooで約42000件のヒット数があって、そこには日頃お世話になっているブログの方々のお名前が散見されます。確かにこれは、多くの方がブログを通して情報発信しながら、それを共有しているとも言えます。ブログが、ラ・トゥール展の素晴らしさを伝えた大きなツールになったのは事実のようです。
最後のラ・トゥールについて書かれた箇所には、ラ・トゥールについて「戦乱のチェチェンやボスニアやイラクで制作した画家のイメージ。」という言葉(一部改変)がありました。私はこれまでこうしたイメージを持ったことはなかったのですが、ラトゥールの生きたロレーヌ王国地方の、ラ・トゥール自身と作品が忘却され、そして再評価されるに至った歴史の混沌は、そういった面を伝える要素が多大にあるのかもしれません。一人の希有な画家をこのような視点で切り込むこと。私にはとても新鮮であった上に、深く感銘させられました。
「図書」は定価100円とありますが、書店によっては無料で配布しています。少し前の感動をまた新たにすることが出来る、とても素敵な寄稿だったと思います。
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