都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ローリー・アンダーソン『時間の記録』」 ICC 9/11
NTTインターコミュニケーション・センター(新宿区西新宿)
「ローリー・アンダーソン『時間の記録』」
7/22~10/2
パフォーマンス・アートの第一人者というローリー・アンダーソン(1947年~)の、日本初となった回顧展です。大変失礼ながら、私は彼女の名をこれまで全く存じ上げなかったのですが、音や映像、それに言語などの多様なジャンルをミックスさせながら、パフォーマンスとして作品を提示する試みは、どれも素直に楽しめるものばかりです。もちろん会場は、いわゆる体験型の展示がメインとなって構成されています。
この展覧会に触れる前は、タイトルの「時間の記録」と、パフォーマンス・アートというジャンルがあまり結びつかなかったのですが、単にパフォーマンス・アートを行う彼女の制作の経過を、そのまま「時間の記録」として捉えて良いのかと思います。また、アンダーソンの試みや思考自体は、幾分奇想天外的な雰囲気をたたえていますが、結果として出てくる作品はかなり取っ付きやすく、ある意味で分かりやすくなっています。それこそ、まさに理論を超えた「パフォーマンス」がそこにあるのでしょうか。
彼女がミュージシャンとして活躍している面もあるので、音に創意工夫を加えたような作品が目立ちました。「つむじ風」(1996年)や、「ハンドフォン・テーブル」(1978年)などは特に印象に残ります。思わぬ場所から思わぬ方向に聞こえてくる音。感性をくすぐられるような作品です。シンプルな題材を用いながらも、発想豊かな意外性を見せる。彼女の他の作品にも通じる要素です。視覚には捉えられないという音の当たり前の特性を、半ばトリック的に見せた面白さがありました。
体験型の作品の他には、彼女が別の場所で試みたもののコンセプトを示した図版なども展示されています。一つ一つの作品を体験していくだけでは、何故か彼女の制作の全貌になかなか近付いてきません。ですから、見ていてややもどかしさを感じる部分もあったのですが、これらコンセプトの展示がその辺を補ってくれました。
展示はかなり親切です。音や映像を駆使したパフォーマンス・アート。ICCならではの良質な展覧会と言えそうです。
「ローリー・アンダーソン『時間の記録』」
7/22~10/2
パフォーマンス・アートの第一人者というローリー・アンダーソン(1947年~)の、日本初となった回顧展です。大変失礼ながら、私は彼女の名をこれまで全く存じ上げなかったのですが、音や映像、それに言語などの多様なジャンルをミックスさせながら、パフォーマンスとして作品を提示する試みは、どれも素直に楽しめるものばかりです。もちろん会場は、いわゆる体験型の展示がメインとなって構成されています。
この展覧会に触れる前は、タイトルの「時間の記録」と、パフォーマンス・アートというジャンルがあまり結びつかなかったのですが、単にパフォーマンス・アートを行う彼女の制作の経過を、そのまま「時間の記録」として捉えて良いのかと思います。また、アンダーソンの試みや思考自体は、幾分奇想天外的な雰囲気をたたえていますが、結果として出てくる作品はかなり取っ付きやすく、ある意味で分かりやすくなっています。それこそ、まさに理論を超えた「パフォーマンス」がそこにあるのでしょうか。
彼女がミュージシャンとして活躍している面もあるので、音に創意工夫を加えたような作品が目立ちました。「つむじ風」(1996年)や、「ハンドフォン・テーブル」(1978年)などは特に印象に残ります。思わぬ場所から思わぬ方向に聞こえてくる音。感性をくすぐられるような作品です。シンプルな題材を用いながらも、発想豊かな意外性を見せる。彼女の他の作品にも通じる要素です。視覚には捉えられないという音の当たり前の特性を、半ばトリック的に見せた面白さがありました。
体験型の作品の他には、彼女が別の場所で試みたもののコンセプトを示した図版なども展示されています。一つ一つの作品を体験していくだけでは、何故か彼女の制作の全貌になかなか近付いてきません。ですから、見ていてややもどかしさを感じる部分もあったのですが、これらコンセプトの展示がその辺を補ってくれました。
展示はかなり親切です。音や映像を駆使したパフォーマンス・アート。ICCならではの良質な展覧会と言えそうです。
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