都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「異邦人たちのパリ」 国立新美術館(その1)
国立新美術館(港区六本木7-22-2)
「異邦人たちのパリ - ポンピドー・センター所蔵作品展 - 」
2/7-5/7
「異邦人たちのパリ」と聞くと、どうしても私は「エコール・ド・パリ」を想像してしまいますが、それ以降のキネティック・アート(*1)や抽象絵画が特に充実していました。パリのポンピドー・センターの所蔵品のうち、約200点ほどを紹介する展覧会です。見応えは十分でした。
*展覧会の構成
Section1 「モンマルトルからモンパルナスへ」(いわゆるエコール・ド・パリ。)
Section2 「外から来た抽象」(抽象絵画、キネティシズム。)
Section3 「パリにおける具象革命」(エロ、クライン、田原桂一など。)
Section4 「マルチカルチャーの都・パリ」(現代アート。ビデオアートからオノデラユキまで。)
いわゆるエコール・ド・パリの集うSection1では、これまであまり意識して見たことのなかったドンゲンの「スペインのショール」(1913)にまず惹かれました。あたかも観客を挑発するかのようにして横を向く裸女が、鮮やかな花模様のショールを肩にかけて一人立っています。体のラインがクッキリと浮かび出したその姿はどこか神々しく、また孔雀の羽のように開いたショールは妖艶さも演出していました。ただしその反面での、上目遣いでその姿を見やる一人の男や、彼女を廻りを彩るかのようにして描かれた鳥は不気味です。その対比の妙も含め、何やら魔性的な危うさも放つ作品かと思いました。
ピカソの「座せる裸婦」(1905)も充実していました。厚紙へ沈み込んだその油彩の感触が、闇に溶け行くまるで彫像のような女性の存在感を強く示しています。しっかりとした目線で斜め前を見据える面持ちより、スラッと膝にまで伸びた長い腕が、やや中性的でもあり凛としたその姿を的確に描写していました。美しきポースが一瞬で凍り付いたかのように捉えられた作品です。冴えています。
ロワール川の流れる丘陵地帯にて、女性が隠れるようにして横たわっているエルンストの「フランスの庭園」も興味深く感じました。川と地面がさながら地層を描くように一体となって波打ち、その皮膚や陰影の描写にリアリティーも感じる女性を眠らせています。エルンストではあまり見慣れないような作品です。一見しただけでは彼のものだとは分かりません。
以下、Section2以降については「その2」へ廻したいと思います。
*1 動く美術作品または動くように見える美術作品のこと。(Wikipediaより。)
*関連エントリ
「異邦人たちのパリ」 国立新美術館(その2)
「異邦人たちのパリ - ポンピドー・センター所蔵作品展 - 」
2/7-5/7
「異邦人たちのパリ」と聞くと、どうしても私は「エコール・ド・パリ」を想像してしまいますが、それ以降のキネティック・アート(*1)や抽象絵画が特に充実していました。パリのポンピドー・センターの所蔵品のうち、約200点ほどを紹介する展覧会です。見応えは十分でした。
*展覧会の構成
Section1 「モンマルトルからモンパルナスへ」(いわゆるエコール・ド・パリ。)
Section2 「外から来た抽象」(抽象絵画、キネティシズム。)
Section3 「パリにおける具象革命」(エロ、クライン、田原桂一など。)
Section4 「マルチカルチャーの都・パリ」(現代アート。ビデオアートからオノデラユキまで。)
いわゆるエコール・ド・パリの集うSection1では、これまであまり意識して見たことのなかったドンゲンの「スペインのショール」(1913)にまず惹かれました。あたかも観客を挑発するかのようにして横を向く裸女が、鮮やかな花模様のショールを肩にかけて一人立っています。体のラインがクッキリと浮かび出したその姿はどこか神々しく、また孔雀の羽のように開いたショールは妖艶さも演出していました。ただしその反面での、上目遣いでその姿を見やる一人の男や、彼女を廻りを彩るかのようにして描かれた鳥は不気味です。その対比の妙も含め、何やら魔性的な危うさも放つ作品かと思いました。
ピカソの「座せる裸婦」(1905)も充実していました。厚紙へ沈み込んだその油彩の感触が、闇に溶け行くまるで彫像のような女性の存在感を強く示しています。しっかりとした目線で斜め前を見据える面持ちより、スラッと膝にまで伸びた長い腕が、やや中性的でもあり凛としたその姿を的確に描写していました。美しきポースが一瞬で凍り付いたかのように捉えられた作品です。冴えています。
ロワール川の流れる丘陵地帯にて、女性が隠れるようにして横たわっているエルンストの「フランスの庭園」も興味深く感じました。川と地面がさながら地層を描くように一体となって波打ち、その皮膚や陰影の描写にリアリティーも感じる女性を眠らせています。エルンストではあまり見慣れないような作品です。一見しただけでは彼のものだとは分かりません。
以下、Section2以降については「その2」へ廻したいと思います。
*1 動く美術作品または動くように見える美術作品のこと。(Wikipediaより。)
*関連エントリ
「異邦人たちのパリ」 国立新美術館(その2)
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