都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「椿会展 2007」 資生堂ギャラリー
資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
「椿会展 2007(第6次椿会)」
4/10-6/10
起源は1947年に遡ります。資生堂ギャラリーが長年にわたって開催を重ねてきたグループ展です。今年よりその「第6次」がはじまりました。伊庭靖子、祐成政徳、袴田京太朗、やなぎみわの計4名が登場しています。
まずは伊庭靖子の静物画を挙げないわけにはまいりません。光をたっぷりと取り込み、その温もりのある感触を呼び覚ますような油彩はどれも非常に優れています。特に、うっすらと水を蓄えた白い器の「untitled」(2007)は印象に残りました。眩しいほど鮮やかに映える青い紋様が陶を彩り、その滑らかさや光沢感、さらにはひんやりとした表面の質感などを実に美しく描いています。ただ、伊庭の絵画は決して「リアル」だけを追求したものではないようです。油彩のマチエールを確かに感じさせながら、まさしく「絵」だけが表現出来る像の「ぶれ」をそのまま提示した上で、さらに対象の本質の美感を浮き上がらせているのです。絵の正面から見た時に写る、空気や光の存在感が仄かに感じ取れます。また支持体に綿布を用いた、毛布を描いた作品にも惹かれました。ベージュ色で毛羽立つその質感には、思わず手を触れたくなってしまうほどです。
原美術館での大個展も懐かしいやなぎみわは、5点の写真の展示です。その中では、深い森の奥にて一人の老婆が琴を奏でる「TSUMUGI」が魅力的でした。木々と自身の呼吸を合わせるかのように佇むその姿は、何やら生命の目覚めのイメージを呼び覚まします。お馴染みの「老少女」のモチーフもまた健在です。
その他、大小無数のアクリル人形を壁に這わせている袴田京太郎のインスタレーションや、祐成政徳の展示室を支える大きな柱のようなオブジェも展示されています。
「第6次椿会」は、今回の4名の他に、塩田千春、丸山直文によって構成されています。これから2009年までの3年間、毎年4名ずつ、顔ぶれを変えながら展示を企画していくそうです。定点観測したいと思います。(4/21)
*追記
「第1回 shiseido art egg」の大賞に平野薫が選ばれています。(資生堂ギャラリーHPより。)
「平野薫『エアロゾル』」 資生堂ギャラリー (拙ブログ記事。)
「椿会展 2007(第6次椿会)」
4/10-6/10
起源は1947年に遡ります。資生堂ギャラリーが長年にわたって開催を重ねてきたグループ展です。今年よりその「第6次」がはじまりました。伊庭靖子、祐成政徳、袴田京太朗、やなぎみわの計4名が登場しています。
まずは伊庭靖子の静物画を挙げないわけにはまいりません。光をたっぷりと取り込み、その温もりのある感触を呼び覚ますような油彩はどれも非常に優れています。特に、うっすらと水を蓄えた白い器の「untitled」(2007)は印象に残りました。眩しいほど鮮やかに映える青い紋様が陶を彩り、その滑らかさや光沢感、さらにはひんやりとした表面の質感などを実に美しく描いています。ただ、伊庭の絵画は決して「リアル」だけを追求したものではないようです。油彩のマチエールを確かに感じさせながら、まさしく「絵」だけが表現出来る像の「ぶれ」をそのまま提示した上で、さらに対象の本質の美感を浮き上がらせているのです。絵の正面から見た時に写る、空気や光の存在感が仄かに感じ取れます。また支持体に綿布を用いた、毛布を描いた作品にも惹かれました。ベージュ色で毛羽立つその質感には、思わず手を触れたくなってしまうほどです。
原美術館での大個展も懐かしいやなぎみわは、5点の写真の展示です。その中では、深い森の奥にて一人の老婆が琴を奏でる「TSUMUGI」が魅力的でした。木々と自身の呼吸を合わせるかのように佇むその姿は、何やら生命の目覚めのイメージを呼び覚まします。お馴染みの「老少女」のモチーフもまた健在です。
その他、大小無数のアクリル人形を壁に這わせている袴田京太郎のインスタレーションや、祐成政徳の展示室を支える大きな柱のようなオブジェも展示されています。
「第6次椿会」は、今回の4名の他に、塩田千春、丸山直文によって構成されています。これから2009年までの3年間、毎年4名ずつ、顔ぶれを変えながら展示を企画していくそうです。定点観測したいと思います。(4/21)
*追記
「第1回 shiseido art egg」の大賞に平野薫が選ばれています。(資生堂ギャラリーHPより。)
「平野薫『エアロゾル』」 資生堂ギャラリー (拙ブログ記事。)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )