「Landschaft - 阿部未奈子/大平龍一/成田義靖 - 」 ヴァイスフェルト

ヴァイスフェルト港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階)
「Landschaft - 阿部未奈子/大平龍一/成田義靖 - 」
4/6-28



「畳」に対し、今度は「段ボール」です。東京画廊の「25×4=□」展で楽しませてくれた大平龍一が、ここ六本木のヴァイスフェルトでも作品を展示しています。若手アーティスト3名によるグループ展、「Landschaft」(風景)へ行ってきました。

殆ど大平のオブジェを目的にして行った展覧会でしたが、意外にも一番惹かれたのは、建築現場をおさめた成田義靖の写真でした。大きなビルや工場を組み立てるための足場が、無機質な感触でありながらも圧倒的に捉えられています。錯綜する直線と直方体のみで構成された鉄パイプの群れは、そのメタリックな質感と相まって、実に寒々とした、またそれ自体が一個の有機体でもあるかのような力強さを見せていました。さながらパイプの一本一本が骨となって、この巨大な集合体を支えているのです。



色のグラデーションがそのまま絵へ生成したような、阿部未奈子の絵画もなかなか充実しています。リアルな風景が色の世界だけに置き換えられ、さらにはそれが解体しながら揺らいでいく様子が表現されているのではないでしょうか。ちなみにこの作品は、風景写真をコンピューターで加工し、その上にてキャンバスへと写し出したものなのだそうです。元の景色の記憶を呼び覚まそうとするような、作者の格闘の痕跡が示されているようにも感じます。



大平のオブジェは、目の前の床に広がる大きな「段ボール」でした。差し込むホッチキスやテープを剥がした跡、さらには取っ手の部分がヒョイと持ち上がっている様子などが、これまた丁寧に作り込んだ木彫にて表現されています。もちろん、汚れや折り目なども、彩色によってかなりリアルに作り込まれていました。ただし今回は、東京画廊で見た「畳」のような、それこそ「騙される」ほどの完成度までは達していないようにも思えます。まだ段ボールへと変身しきれていない「板」も、僅かながら散見されました。

28日までの開催です。(25日)

*関連エントリ
「25×4=□」 東京画廊
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