畠山記念館で6年ぶりの琳派展

今月3日より畠山記念館(東京・港区)にて琳派展が始まりました。約6年ぶりに、同記念館所蔵の琳派コレクションが公開される展覧会です。





畠山記念館は元来、茶道具の蒐集に定評のある施設です。当然、この展覧会でも光悦の楽茶碗や乾山焼などが目立っています。(展示の約半数弱は工芸です。)とは言え、宗達、光琳、そして抱一ら、さながら琳派の花形とも言える作家たちの画ももちろん出品されています。光悦と宗達の合作による重文「金銀泥四季草花下絵 古今集和歌巻」や、同じく重文で光琳の「躑躅図」、さらには渡辺始興の「四季花木図屏風」などが見所となるのではないでしょうか。

  

さて肝心の抱一ですが、合計8点の展示が予定されていました。中でも現在確認されている4バーションのうち一つで、通称畠山本とも称される「十二ヶ月花鳥図」は必見です。これは、それぞれ三の丸尚蔵館とプライス氏所蔵の作品の橋渡し的存在としても知られている作品で、4点のうち唯一、不思議にも全ての場面に「鳥」の登場する作品でもあります。また他の三点は、昨年、各所蔵先の美術館、もしくは展覧会での展示がありました。畠山本は最も見る機会の少ない作品と言えるかもしれません。ちなみにこの作品が初めて公開されたのも、1997年の同館主宰の琳派展でのことです。

出品作品は約60点弱ですが、会場スペースの都合なのか、かなり頻繁な展示替えが行われます。以下は、抱一の各作品の展示期間です。全て拝見するとなると、計3回は足を運ばなくてはいけません。

「四季花木図屏風」(4/3-15)
「乙御前図」(4/3-15)
「立雛図」(4/3-15)
「賤が屋の夕顔図」(4/3-5/6)
「十二ヶ月花鳥図」(4/17-5/6)
「富士見業平図屏風」(4/17-5/6)
「月波草花図」(5/8-27)
「風神雷神図」(5/8-6/10)

宗達や光琳などの代表作については以下の通りです。光悦の楽焼や乾山の鉢や器は、会期中を通して展示されています。

光琳「白梅模様小袖貼付屏風」(4/3-15)
光琳「躑躅図」(4/24-5/13)
宗達「金銀泥四季草花下絵」(4/24-5/13)
始興「四季花木図屏風」(5/29-6/10)



この展覧会に合わせて刊行された図録は豪華です。(全113ページ。)読み物としてはもう一歩踏みこんで欲しい部分(ただし、各作品の解説は記載されています。)もありますが、図版としては見事でした。

畠山記念館は白金の入り組んだ住宅街の中に建っています。公式HP内の地図をご参照下さい。電柱などに案内板が掲示されているとは言え、特に白金台よりの順路は迷うと大変です。

白金台駅より 高輪台駅より(pdfファイル)

出来れば三たび訪ねて、畠山記念館の抱一コレクションを全て見たいと思います。

*基本情報
「平成19年春季展 琳派 四季のきょうえん」
会期:4/3-6/10
場所:畠山記念館港区白金台2-20-12) 03-3447-5787
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(但し4/30は開館。5/1は休館。)
入場料:一般500円、学生350円

*関連エントリ
「琳派 四季のきょうえん」 畠山記念館
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