都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ブライアン・アルフレッド - Global Warning - 」 SCAI
SCAI THE BATHHOUSE(台東区谷中6-1-23)
「ブライアン・アルフレッド - Global Warning - 」
3/23-4/28
アメリカのニューペインティング世代(*1)を牽引するという(画廊DMより。)、ブライアン・アルフレッドの日本初個展です。見慣れた日本の光景やアメリカの建造物などを、コラージュやアクリル画、さらにはビデオ・インスタレーションを通して多様に表現します。そのポップな感覚もまた魅力的です。
まず目に飛び込んできたのは、全部で10点ほど並ぶコラージュの連作でした。縦10センチ、横15センチほどの小さな画面の中には、何故かJR目黒駅の駅名表示看板や靖国神社の正面全景、さらにはNASAのロゴマークも見える建造物やひたすら窓の連なる巨大なビルなどが描かれています。その質感は一見アクリル画のようでもありますが、近づくと、確かに何枚かの紙を貼り合わせて出来たペーパーコラージュだということが見て取れました。作品によってはそのクオリティーにやや差があるようにも思えましたが、建物や風景の「面」だけを強調するかのようにして切り取り、マットな感覚にてその陰影を幾何学的に配した構図感はなかなか興味深く感じられます。その他には、消費者金融の看板で溢れる街角の光景や、SCAI自体を描いたものも展示されていました。これは、要するに「切り絵」と言っても良いのかもしれません。
奥の展示室では巨大なアクリル画4点と、1点の映像作品が公開されています。アクリル画の画題は先のコラージュとほぼ同様です。こちらは具体的に特定出来る場所と言うよりも、もっと抽象化された一光景が描かれていますが、色の組み合わせや影の用い方などはほぼ同じかと思います。また、静かなBGMにのって繰り広げられるビデオは、さながら紙芝居の動画版とも言えるのではないでしょうか。ペーパーコラージュの光景が映像化され、時間の進行とともに動いているのです。太陽が沈み、夕暮れに照らされたビルなどが浮かび上がってきます。
率直に申し上げると、作品を見る限りでは、その扱う主題(*2)について殆ど理解することが出来ませんでしたが、ペーパーコラージュに見る一種の「ゆるさ」と、絵のカジュアルな気配には素直に惹かれる部分もありました。28日までの開催です。(4/21)
*1 「新しい絵画」。1980年を前後して登場した新しい絵画の動向を総称していう用語だが、その指示する範囲があまりに漠然としており、今日では「ネオ・エクスプレッショニズム」と呼ばれることのほうが多い。巨大なキャンヴァス、荒々しい筆致、原色の対比などが特徴。(「artgene」現代美術用語辞典より。)
*2 地球温暖化や自然破壊の問題を政治的な思惑や陰謀のパワーゲームを背景に示唆しつつ客観的に見つめる展覧会になります。(画廊HPより。)
「ブライアン・アルフレッド - Global Warning - 」
3/23-4/28
アメリカのニューペインティング世代(*1)を牽引するという(画廊DMより。)、ブライアン・アルフレッドの日本初個展です。見慣れた日本の光景やアメリカの建造物などを、コラージュやアクリル画、さらにはビデオ・インスタレーションを通して多様に表現します。そのポップな感覚もまた魅力的です。
まず目に飛び込んできたのは、全部で10点ほど並ぶコラージュの連作でした。縦10センチ、横15センチほどの小さな画面の中には、何故かJR目黒駅の駅名表示看板や靖国神社の正面全景、さらにはNASAのロゴマークも見える建造物やひたすら窓の連なる巨大なビルなどが描かれています。その質感は一見アクリル画のようでもありますが、近づくと、確かに何枚かの紙を貼り合わせて出来たペーパーコラージュだということが見て取れました。作品によってはそのクオリティーにやや差があるようにも思えましたが、建物や風景の「面」だけを強調するかのようにして切り取り、マットな感覚にてその陰影を幾何学的に配した構図感はなかなか興味深く感じられます。その他には、消費者金融の看板で溢れる街角の光景や、SCAI自体を描いたものも展示されていました。これは、要するに「切り絵」と言っても良いのかもしれません。
奥の展示室では巨大なアクリル画4点と、1点の映像作品が公開されています。アクリル画の画題は先のコラージュとほぼ同様です。こちらは具体的に特定出来る場所と言うよりも、もっと抽象化された一光景が描かれていますが、色の組み合わせや影の用い方などはほぼ同じかと思います。また、静かなBGMにのって繰り広げられるビデオは、さながら紙芝居の動画版とも言えるのではないでしょうか。ペーパーコラージュの光景が映像化され、時間の進行とともに動いているのです。太陽が沈み、夕暮れに照らされたビルなどが浮かび上がってきます。
率直に申し上げると、作品を見る限りでは、その扱う主題(*2)について殆ど理解することが出来ませんでしたが、ペーパーコラージュに見る一種の「ゆるさ」と、絵のカジュアルな気配には素直に惹かれる部分もありました。28日までの開催です。(4/21)
*1 「新しい絵画」。1980年を前後して登場した新しい絵画の動向を総称していう用語だが、その指示する範囲があまりに漠然としており、今日では「ネオ・エクスプレッショニズム」と呼ばれることのほうが多い。巨大なキャンヴァス、荒々しい筆致、原色の対比などが特徴。(「artgene」現代美術用語辞典より。)
*2 地球温暖化や自然破壊の問題を政治的な思惑や陰謀のパワーゲームを背景に示唆しつつ客観的に見つめる展覧会になります。(画廊HPより。)
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