山種美術館で楽しむ「秋草鶉図」

明日から山種美術館で「コレクション名品展」(開館40周年記念展)がはじまります。この展覧会では、琳派、古径、御舟、それに遊亀や松園など、同館自慢の日本画コレクションが約90点ほど紹介されるようですが、その中に酒井抱一の「秋草鶉図」(月に秋草鶉図屏風)の名が挙がっていました。これは見逃せません。



金屏風へ沈み込むかのような半月を背景にして描かれているのは、端正でリズミカルに伸びるススキと、精緻なタッチも冴える鶉の群れでした。女郎花の紅がこの情景に色彩のアクセントを与え、秋の移ろい美しく伝えてくれます。また月の黒は、銀が黒ずんだものではなく、ススキの穂を浮かび上がらすために、抱一があえて墨を用いて表現したのだそうです。これは、当時としてはあまり他に例がありません。鶉などは南宋や土佐派の画をモデルとしていますが、この月に、抱一の洒落た構図感覚を見ることも出来そうです。



*基本情報
「開館40周年記念展『山種コレクション名品展』」
会期:4/21- 6/3(前期) 6/6 - 7/16(後期)
場所:山種美術館千代田区三番町2 三番町KSビル1階)
開館時間:10:00 - 17:00
休館日:月曜(但し4/30、及び5/1は開館。)
入館料:一般800円(入館料が値上がりしました。公式HPに100円割引券あり。ぐるっとパスでは無料です。)

6月初旬に一度、全ての展示作品が入れ替わります。公式HPの展示替えリストをご確認下さい。ちなみに「秋草鶉図」は、前期期間中(4/21-6/3)に展示される予定です。

展示替えリスト(pdf)

ところでこの抱一の他に、私がこの展覧会で是非拝見したいと思うのは速水御舟の「炎舞」(後期展示)です。御舟も大好きな画家の一人ではありますが、いつぞやの回顧展を見逃してしまったため、この作品を実はまだ一度も鑑賞したことがありません。図版等を眺めるだけでも強く惹かれているので、こちらも楽しみたいと思います。

以前にご紹介した畠山記念館の琳派展でも、「十二ヶ月花鳥図」(4/17-5/6)の展示が始まっています。九段より白金へとはしごして抱一を楽しむのもまた良さそうです。

*関連エントリ
「琳派 四季のきょうえん」 畠山記念館
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