都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「田村正樹展」 アートスペース羅針盤
アートスペース羅針盤(中央区京橋3-5-3 京栄ビル2階)
「田村正樹展」
4/2-7(会期終了)
滔々と流れる時間や空間の渦を、和紙や胡粉の質感を用いて美しく表現します。田村正樹の個展を見てきました。
白や肌色、もしくは赤茶けた色面が幾重にもせめぎ合って姿を現したのは、具象と抽象の間を彷徨う一つの大きな海でした。深淵の闇を思わせる空間に、まるで星の連なるリングが浮き上がったかと思うと、はたまた地上を洗い流す大波や、空で絶えず変化する雲のイメージも思い浮かびます。また顔料やアクリルを使用した丁寧な画肌は、一見、軽やかではありながらもかなり重厚です。多様に変化する個々のモチーフが、見る側へ力強く迫ってくるとするよりも、絵の中へ深く沈み込んでいくような感覚を受けました。躍動感は少なく、むしろ閉ざされた静謐な場が絵に定着しています。
アクリルを塗って胡粉を散らし、さらには和紙を張り合わせ、時に剥がすというシンプルながらも凝った技法が、絵に確かな存在感をもたらしていました。ただし、それぞれの質感を持つ各素材が、全体として組合わさった時に生まれる新鮮味にはやや乏しかったかもしれません。大胆なタッチから生まれた大きな流れこそ画中に存在していますが、塗り固められた樹脂や和紙などによって、繊細なモチーフやイメージが幾分かき消されてしまっているようにも見えます。もう一歩、絵より外へと広がるような伸びやかさもあればと感じました。
今年8月には、銀座一丁目のKs Galleryにて再度の個展も予定されています。全体的にはとても良いイメージを得たので、是非そちらへも足を運びたいです。(4/7鑑賞)
「田村正樹展」
4/2-7(会期終了)
滔々と流れる時間や空間の渦を、和紙や胡粉の質感を用いて美しく表現します。田村正樹の個展を見てきました。
白や肌色、もしくは赤茶けた色面が幾重にもせめぎ合って姿を現したのは、具象と抽象の間を彷徨う一つの大きな海でした。深淵の闇を思わせる空間に、まるで星の連なるリングが浮き上がったかと思うと、はたまた地上を洗い流す大波や、空で絶えず変化する雲のイメージも思い浮かびます。また顔料やアクリルを使用した丁寧な画肌は、一見、軽やかではありながらもかなり重厚です。多様に変化する個々のモチーフが、見る側へ力強く迫ってくるとするよりも、絵の中へ深く沈み込んでいくような感覚を受けました。躍動感は少なく、むしろ閉ざされた静謐な場が絵に定着しています。
アクリルを塗って胡粉を散らし、さらには和紙を張り合わせ、時に剥がすというシンプルながらも凝った技法が、絵に確かな存在感をもたらしていました。ただし、それぞれの質感を持つ各素材が、全体として組合わさった時に生まれる新鮮味にはやや乏しかったかもしれません。大胆なタッチから生まれた大きな流れこそ画中に存在していますが、塗り固められた樹脂や和紙などによって、繊細なモチーフやイメージが幾分かき消されてしまっているようにも見えます。もう一歩、絵より外へと広がるような伸びやかさもあればと感じました。
今年8月には、銀座一丁目のKs Galleryにて再度の個展も予定されています。全体的にはとても良いイメージを得たので、是非そちらへも足を運びたいです。(4/7鑑賞)
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