読響次期常任指揮者にシルヴァン・カンブルランが就任

率直なところ、やや意外感がありましたが、この人選なら大歓迎です。読響のスクロヴァチェフスキの後任の常任に現在、バーデンバーデン・フライブルクSWR交響楽団(南西ドイツ放送)の首席指揮者を務める、シルヴァン・カンブルランが就任します。期間は2010年より3年間。来春には就任に先立ち、同楽団の定期公演にて、「幻想交響曲」やベートーヴェンの第4、第5交響曲を披露する予定があるそうです。



読売日響「第9代常任指揮者」にシルヴァン・カンブルラン氏読売日本交響楽団

ともかく彼の名を聞いて思い出すのは、2年前の冬、驚くほどの名演を聞かせて強烈にアピールして見せた、読響定期のトゥーランガリラです。元々、現代音楽に定評のある指揮者とは聞いていたものの、その実力を知らなかった私にとって、この日の演奏はまさに目の覚めるような『凄演』で印象に残りました。実際、拙ブログの感想でも、「国内で望み得るベストパフォーマンスのトゥーランガリラが聴けた」とか、「力強く自信に満ちあふれたカンブルランの至芸を楽しむことが出来る」などの駄文を並べていますが、まさか最後の「是非また共演していただきたいです。」の願いが、このような形で実現するとは夢にも思いませんでした。もちろんこのコンサートは読響との初共演とのことで、一回性の名演に過ぎないという見方もありそうですが、あのレベルが今後も続くとしたら、それは現在のミスターSとの充実した読響をさらなる高みに引き上げること間違いありません。実に楽しみです。

H. Berlioz : Les Troyens 1

*カンブルラン指揮、パリ管によるベルリオーズの「トロイの人々」。2000年のザルツブルク音楽祭の公演です。

カンブルランはかつてベルギー王立歌劇場、もしくはフランクフルト歌劇場の総監督を務めたオペラ畑の指揮者です。在京のオーケストラでは比較的オペラに縁のない読響に、また新たな方向性を与えることにもなるのではないでしょうか。また独墺系に地力のある同楽団に、どこかマッチョなカンブルラン流のフランスの風を吹かせることにも期待が持てます。ちなみにカンブルランの公式HPによれば、今年の11月にパリ国立オペラで「フィデリオ」を振るそうです。先だって日本で行われたデュカスの評判は不明ですが、またオペラの面でも何かアクションを起こしていただければと思いました。

「Berlioz: Romoet Juliette - Messiaen: L'Ascension/Sylvain Cambreling」

就任披露公演には、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が予定されています。真っ向勝負すると聴かせるのがより難しくなる曲だけに、それを彼がどう個性的に料理するかに期待したいものです。
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