都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「浮世絵 - ベルギーロイヤルコレクション展」(前期) 太田記念美術館
太田記念美術館(渋谷区神宮前1-10-10)
「ベルギー王立美術歴史博物館 ベルギー王立図書館所蔵 浮世絵 ベルギーロイヤルコレクション展」(前期)
9/2-28(前期9/2-15、後期9/17-28)

ベルギーの二つの王立の施設より、保存にも優れた珠玉の浮世絵を展観します。太田記念美術館で開催中の「浮世絵 - ベルギーロイヤルコレクション展」へ行ってきました。
率直なところ、昨年の「Great Ukiyoe Masters」(ミネアポリス美術館コレクション@松濤美術館)ほどの衝撃は受けませんでしたが、それでも「群を抜く素晴らしい保存状態」というチラシのうたい文句は全く大げさではありません。色味にかけては浮世絵師最高の繊細さを誇る春信をはじめ、歌麿による壮麗華美な美人画、または世界に一枚しかないというレアな作品の公開された写楽など、見所を挙げればきりのない展覧会です。会期途中にて、大半の出品作が入れ替わるところがまた『太田流』ですが、確かにこの内容なら前後期追っかけたいと思うのも無理はないでしょう。まずは何とか、前期最終日の前日に駆け込みで見てきました。

「Great Ukiyoe Masters」の主役が春信であったとするならば、今回のそれは間違いなく歌麿です。とりわけ展示順路最後に並んだ連作、「高名美人見立て忠臣蔵 十二段つづき」には感服しました。前期は十二段のうち七段目までの出品でしたが、忠臣蔵の作中の女性が歌麿一流のグラビアアイドルとなって艶やかに表されています。(後期では残りの八段以降を公開。)また歌麿ではその他、水玉の布地を空かして見やる女性を捉えた「針仕事」、さらには彼としては実に珍しい妖怪画なども印象に残りました。どこか稚拙とも思える線描が、美人画の歌麿に見せる迫力とは違った滑稽さで楽しませてくれます。

色に線に細やかな神経の通う春信では、「五常 義」が見事な一枚でした。仄かな桃色の窓と朱色の襖、それに芝色の畳がちょうど三面に交じるようにして広がり、そこを細密画の如く精緻に示された紋様を纏う女性が二人、目を合わせて話し込む様が描かれています。左の女性の帯にはエンボスが仕掛けられているのでしょうか。もはやケース越しの肉眼で確認するのが困難なほど細やかでした。
ベルギーロイヤルコレクション展は、今回の太田記念美の他、時間を開けて来年には京都高島屋(2009/1/7-19)、さらには日本橋(東京)の高島屋(2009年5月)への巡回が予定されています。何とその3会場全てで出品作が異なるという、まるで鑑賞者に優しくない展示ではありますが、ベルギーへ行くことを考えればそう難しくはないということになるのでしょうか。ちなみに図録はテキスト、図版共々充実しています。全会場の出品作が網羅されているので、どうしても見られない部分はこちらで補完するのも悪くなさそうです。
チラシ裏面に100円引きの割引券が付いていました。後期展示は次の木曜、17日よりの開催です。(前期は終了。)
「ベルギー王立美術歴史博物館 ベルギー王立図書館所蔵 浮世絵 ベルギーロイヤルコレクション展」(前期)
9/2-28(前期9/2-15、後期9/17-28)

ベルギーの二つの王立の施設より、保存にも優れた珠玉の浮世絵を展観します。太田記念美術館で開催中の「浮世絵 - ベルギーロイヤルコレクション展」へ行ってきました。
率直なところ、昨年の「Great Ukiyoe Masters」(ミネアポリス美術館コレクション@松濤美術館)ほどの衝撃は受けませんでしたが、それでも「群を抜く素晴らしい保存状態」というチラシのうたい文句は全く大げさではありません。色味にかけては浮世絵師最高の繊細さを誇る春信をはじめ、歌麿による壮麗華美な美人画、または世界に一枚しかないというレアな作品の公開された写楽など、見所を挙げればきりのない展覧会です。会期途中にて、大半の出品作が入れ替わるところがまた『太田流』ですが、確かにこの内容なら前後期追っかけたいと思うのも無理はないでしょう。まずは何とか、前期最終日の前日に駆け込みで見てきました。


「Great Ukiyoe Masters」の主役が春信であったとするならば、今回のそれは間違いなく歌麿です。とりわけ展示順路最後に並んだ連作、「高名美人見立て忠臣蔵 十二段つづき」には感服しました。前期は十二段のうち七段目までの出品でしたが、忠臣蔵の作中の女性が歌麿一流のグラビアアイドルとなって艶やかに表されています。(後期では残りの八段以降を公開。)また歌麿ではその他、水玉の布地を空かして見やる女性を捉えた「針仕事」、さらには彼としては実に珍しい妖怪画なども印象に残りました。どこか稚拙とも思える線描が、美人画の歌麿に見せる迫力とは違った滑稽さで楽しませてくれます。

色に線に細やかな神経の通う春信では、「五常 義」が見事な一枚でした。仄かな桃色の窓と朱色の襖、それに芝色の畳がちょうど三面に交じるようにして広がり、そこを細密画の如く精緻に示された紋様を纏う女性が二人、目を合わせて話し込む様が描かれています。左の女性の帯にはエンボスが仕掛けられているのでしょうか。もはやケース越しの肉眼で確認するのが困難なほど細やかでした。
ベルギーロイヤルコレクション展は、今回の太田記念美の他、時間を開けて来年には京都高島屋(2009/1/7-19)、さらには日本橋(東京)の高島屋(2009年5月)への巡回が予定されています。何とその3会場全てで出品作が異なるという、まるで鑑賞者に優しくない展示ではありますが、ベルギーへ行くことを考えればそう難しくはないということになるのでしょうか。ちなみに図録はテキスト、図版共々充実しています。全会場の出品作が網羅されているので、どうしても見られない部分はこちらで補完するのも悪くなさそうです。
チラシ裏面に100円引きの割引券が付いていました。後期展示は次の木曜、17日よりの開催です。(前期は終了。)
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