「パラレル・ワールド もう一つの世界」 東京都現代美術館

東京都現代美術館江東区三好4-1-1
「パラレル・ワールド もう一つの世界」
7/26-9/28



日仏の現代美術シーンを代表する実力派が揃います。(ちらしより引用。)東京都現代美術館で開催中の「パラレル・ワールド」へ行ってきました。



出品作家は以下の通りです。
ユーグ・レプ、ミシェル・ブラジー、フランソワ・キュルレ、ロラン・フレクスナー、ダニエル・ギヨネ、ジャック・ジュリアン、内藤礼、名和晃平、アラン・セシャス、曽根裕



この手のグループ展ではいつも以上に作品との相性で評価が定まってしまいますが、今回は名和晃平、内藤礼をはじめ、曽根裕のクリスタルのオブジェやフレスクナーのシュールな平面作品、その他『春雨』のブラジーと、何名かの興味の惹かれる作家が登場していて楽しめました。特に、これまで個展などに接する機会の少なかった内藤礼は、瞑想を誘うような木製の建築物が実に魅力的です。しゃがみ込んで入る部屋には外光が仄かに差し込み、水の静かに流れ続ける蛇口の先には、あたかもビーカーの中で住まう水の妖精のようなオブジェがゆらゆらとゆらめいています。やや歪んだ手すり、そして包まれるような箱自体と、どことない居心地の良さを感じる作品でした。



その素材を知ると驚きは何倍にもふくれあがります。内藤の建築物の先に見えるのは、長さ数メートルにも及ぶ全身が毛むくじゃらの奇怪な生き物でした。実際、これらの『毛』は全て細かな春雨を彩色したものであるそうですが、その生々しい質感はもとより、これだけの量の食べ物を用いて一つの大きなオブジェを作り上げるセンスに感心させられるものがあります。そもそもミシェル・ブラジーは植物の種子など、自然界に存在する物を使って様々な作品を作り出しているそうですが、是非その他も見てみたいと思いました。



MOTの常設展示がこのところ好調です。今企画展に続く「サヴァイヴァル・アクション」がまた大変に優れていました。加藤美佳、石川直樹、小谷元彦、小林孝宣、奈良美智と言った、まさに今の日本のアートシーンを牽引する方々が揃っています。また既知の収蔵品も、例えば菊畑茂久馬の「奴隷系図」の『大砲』の先に白髭一雄のペインティングがのたうち回るなど、作品を巧みに組み合わせる演出も見事でした。渋谷に移設の決まった岡本太郎、または長らく常設のラストを飾っていた宮島のカウンターがなくなったのは寂しい気もしますが、新収蔵品も加わった美術館の強い意欲を見るようなコレクション展示が実現していたのではないでしょうか。満足できました。

ジブリ効果は不明ですが、意外と集客も好調のようです。次の日曜、28日まで開催されています。(サヴァイヴァル・アクションは10月5日まで。)
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