都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
琳派三部作、堂々完成。(もっと知りたいシリーズ@東京美術)
いよいよ東博での大琳派展まであと一ヶ月をきりましたが、「すぐわかる」シリーズなどでもお馴染みの東京美術より、展示のバイブルともなりうるような最新刊が同時にまとめて出版されました。それが「もっと知りたい俵屋宗達」、「尾形光琳」、「酒井抱一」の計3冊です。定価はそれぞれ1600円でした。
風神雷神や燕子花など、シンプルながらも鮮やかな表紙からして期待が高まるというものですが、中を埋め尽くす豊富な図版はもちろんのこと、玉蟲敏子(抱一)、仲町啓子(光琳)、村重寧(宗達)の一線級の学者各氏による、単なる手軽なムック本とは一味違う『読ませる本』になっているのも大きな特徴です。生涯に謎の多い宗達こそ、どちらかと言えばモチーフ上の差異から、その全貌を追う仕様となっていますが、光琳、抱一に関しては彼らの画業を時系列に追いかけ、絵の奥から垣間見えてくるその人となりをえぐり出す仕掛けがとられています。特に玉蟲氏による酒井抱一のテキストは、氏の学術書である「都市のなかの絵」に準拠しうるほどの充実した内容で驚きました。代表作「夏秋草」の知名度こそ高いものの、その他はせいぜい綺麗な絵を書き続けていた『殿様』、という一般的なイメージを覆すのも間近でしょう。地位を半ば捨て、詩と絵とに生きた退廃の貴公子のわびしさや儚さまでを掘り起こすような抱一観が打ち立てられています。巻末の「おわりに」に、玉蟲氏の強い抱一への想いが表れていました。
今度の琳派展に出品予定の作品図版はもちろん、宗達には光悦、また抱一には其一にも紙面が割かれています。率直なところ、光悦も其一も独立した「もっと知りたい」があればとは思いますが、ともかくは補完的に楽しめそうです。
以上三冊をまとめて購入すると、抽選で東博の琳派グッズがあたるという読者プレゼントも企画されています。まずは書店にてご覧ください。
「もっと知りたい俵屋宗達/村重寧/東京美術」
「もっと知りたい尾形光琳/仲町啓子/東京美術」
「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」
*関連エントリ
大琳派展@東博、続報(関連講演会、書籍など。)
大琳派展(東博)、公式サイトオープン
風神雷神や燕子花など、シンプルながらも鮮やかな表紙からして期待が高まるというものですが、中を埋め尽くす豊富な図版はもちろんのこと、玉蟲敏子(抱一)、仲町啓子(光琳)、村重寧(宗達)の一線級の学者各氏による、単なる手軽なムック本とは一味違う『読ませる本』になっているのも大きな特徴です。生涯に謎の多い宗達こそ、どちらかと言えばモチーフ上の差異から、その全貌を追う仕様となっていますが、光琳、抱一に関しては彼らの画業を時系列に追いかけ、絵の奥から垣間見えてくるその人となりをえぐり出す仕掛けがとられています。特に玉蟲氏による酒井抱一のテキストは、氏の学術書である「都市のなかの絵」に準拠しうるほどの充実した内容で驚きました。代表作「夏秋草」の知名度こそ高いものの、その他はせいぜい綺麗な絵を書き続けていた『殿様』、という一般的なイメージを覆すのも間近でしょう。地位を半ば捨て、詩と絵とに生きた退廃の貴公子のわびしさや儚さまでを掘り起こすような抱一観が打ち立てられています。巻末の「おわりに」に、玉蟲氏の強い抱一への想いが表れていました。
今度の琳派展に出品予定の作品図版はもちろん、宗達には光悦、また抱一には其一にも紙面が割かれています。率直なところ、光悦も其一も独立した「もっと知りたい」があればとは思いますが、ともかくは補完的に楽しめそうです。
以上三冊をまとめて購入すると、抽選で東博の琳派グッズがあたるという読者プレゼントも企画されています。まずは書店にてご覧ください。
「もっと知りたい俵屋宗達/村重寧/東京美術」
「もっと知りたい尾形光琳/仲町啓子/東京美術」
「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」
*関連エントリ
大琳派展@東博、続報(関連講演会、書籍など。)
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