「清方美の誕生 - 下絵等の比較(第一期)」 鎌倉市鏑木清方記念美術館

鎌倉市鏑木清方記念美術館神奈川県鎌倉市雪ノ下1-5-25
「清方美の誕生 - 下絵等の比較(第一期)」
2/7-3/25



主に肖像画の下絵を参照します。鎌倉市鏑木清方記念美術館で開催中の「清方美の誕生 - 下絵等の比較(第一期)」へ行ってきました。

目玉は修復を経て初めて公開された「薄雪 下絵」(上チラシ作品)です。近松門左衛門の「冥土の飛脚」を題材に、男女の抱擁する姿の描かれた本作は、刹那的な両者の情熱の高まりを見事に示しています。このずしりと重みを感じる質感表現には、清方の的確なデッサン力を伺い知れるのではないでしょうか。乱れた衣の様も流麗であり、また官能的でした。



清方美と言われると美人画ばかりを想像してしまいますが、意外にも男性肖像が多く出ているのも本展示の特徴かもしれません。本画と下絵が並ぶ「慶喜恭順」は印象に残りました。やや前に屈みながらも、気位を失わない慶喜が静かに座っています。ちなみに実際に清方は、この作品を描く30年も前に、慶喜が寛永寺に謹慎する様を見たことがあるそうです。そうした記憶も蘇らせていたのかもしれません。似絵の伝統すら思わせる見事な一枚でした。

「雨華庵風流」と聞いてピンと来たらあなたも立派な抱一ファンです。出家して頭を剃り上げた抱一が、楽器を前にしながら、何故か三角座りの格好をして居る様子が描かれています。清方がまさか抱一を手がけていたとは知りませんでした。

肖像下絵の他、華やかな牡丹のデッサンなども紹介されています。

神奈川県美鎌倉館へ行くために少し立ち寄ったつもりでしたが、思いの外にじっくりと見入ってしまいました。

「鏑木清方/新潮日本美術文庫」

25日までの開催です。*3/28から4/22は第二期。
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