「ミレーとバルビゾン派の画家たち」 青山ユニマット美術館

青山ユニマット美術館港区南青山2-13-10
「ミレーとバルビゾン派の画家たち」
1/16-3/31



シャガールの他、エコール・ド・パリ、そしてバルビゾン派などの見応えある西洋絵画群も間もなく見納めです。3月末での閉館が急遽決まった青山ユニマット美術館へ行ってきました。



都内でこれほど充実したシャガールを見られる場所など他にありません。展示冒頭、2フロアに渡って続くのは、お馴染み「ブルー・コンサート」などのシャガールのコレクションでした。中でも今回、とりわけ印象深いのは、花をモチーフとした作品です。花束にベラやイダなどの娘の姿を重ねあわせ、そこへ彼らを祝福するかのような天使が横切る「菊の花」、また80歳を過ぎたシャガールが、ベラより貰った花束を描いた「誕生日の大きな花束」などは、光にも満ちた力強い生命感をたたえていました。



シャガールに引き続くエコール・ド・パリでは、何と言っても藤田の「バラ」が飛び抜けています。この卓越した質感表現を見て、岸田劉生や速水御舟の花卉画を連想するのは私だけでしょうか。折れてひしゃげたバラの様子には一抹の儚さすら感じられます。実はあまり好きではない乳白色もこの作品ならば問題ありません。背景の壁面、そして器の陶などの塗り分けも完璧でした。

今回の特集展示、「ミレーとバルビゾン派」の目玉は、ミレーの描いた数少ない子どもの肖像画(全部で10点しか残っていないそうです。)の一つである「犬を抱いた少女」(ちらし表紙)でした。無邪気に口を開ける犬に対し、少女はどこか取り澄ました表情でこちらを見つめています。しっとりと濡れたようなブロンドの髪もまた美しいものでした。



ラストには偉大なクールベの「シヨン城」が掲げられています。うっすらと朱色がかった空や深い森を、そして堅牢な城の姿を鏡のように反射するレマン湖の静けさが心にしみ入りました。

「青山ユニマット美術館 平成21年3月31日付閉館のお知らせ」(同館HPより)

館発起人氏が逝去された今こそ、社の総力を挙げてコレクションを公開し続けようという意思はなかったようです。

本展示は3月末日にて終了し、美術館も同日に閉鎖されます。
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