都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「巧術 KOH-JUTSU展」 スパイラルガーデン
スパイラルガーデン(港区南青山5-6-23)
「巧術 KOH-JUTSU展」
4/2-4/7
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スパイラルガーデンで開催中の「巧術 KOH-JUTSU展」へ行ってきました。
出品作家は以下の通りです。レントゲンや小柳の個展などでも印象に深い12名の作家が登場しました。
青木克世、あるがせいじ、内海聖史、カンノサカン、桑島秀樹、佐藤好彦、須田悦弘、諏訪敦、高田安規子・政子、中村哲也、満田晴穂、山本タカト
元来、技巧とは、芸術上の表現における技術的な工夫を指す用語ですが、ここでは既存の美術観への批判をこめた上で、それを「巧術」という新たなキーワードに置き換えています。確かに字面より想像されるように、細やかさや器用さという点において、他に類を見ない作品が紹介されていました。
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あるがせいじ「1147」
まず入口左の枠の中にすっぽりと収まるのはあるがせいじの新作です。緻密に彫り込まれたそのテクスチャには毎度ながら驚かされるばかりですが、今回はこのサイズにも圧倒されました。まるでビルの窓の断面のようです。
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青木且世「鏡よ鏡」
続いてアニュアル展にも出品のあった青木且世がセラミック製のオブジェを展開します。表面の生クリームのような独特な質感も必見ではないでしょうか。
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桑島秀樹「Horizontal 001」
2008年の個展で至極感銘させられた桑島秀樹のガラスの迷宮も登場しました。デカンタやグラスをくみ上げて出来たイメージは、織りなす光の陰影と相まって、見る者をその無限回廊へと引込んで行きます。
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細部の細部までじっくりとご覧下さい。眩いばかりの後光が放たれていました。
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入口左に目を向けると、カンノサカン「HUNCH」シリーズと中村哲也の「紫電プロトタイプ」がその尖った作風で火花を散らします。
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カンノサカン「HUNCH」(一部)
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メインの吹き抜けに鎮座するするのは内海聖史の大作と、佐藤好彦「Model」シリーズなどでした。佐藤の作品は六本木の旧レントゲンで見たことを思い出します。ホワイトキューブにモノリスのように立つスピーカーの迫力は満点でした。
さて個々で注目したいのが、上の写真の左、床面に置かれた白い板状の作品です。
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高田安規子・政子「Mt.Fuji」
近寄ってみると驚くべきことに等高線が出現しました。何とこれらは全て紙をカッターなどで切り抜いて出来ています。手作業でしか制作出来ないとは理解しながらも、実物を見ても到底人の手のみで完成させられたとは思えません。これこそ「巧術」ではないでしょうか。
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内海聖史「色彩に入る」
もう一度掲載します。やはりぐっと心に響くのは内海の「色彩に入る」でした。資生堂のアートエッグで一目惚れして以来、私の中で彼の最高傑作だと勝手に位置づけていますが、この広いスパイラルで見ると、粒の運動がさらなる広がりもって拡散していくようなイメージも与えられます。青い色彩は雲のように広がり、時に余白を巻き込んで嵐のように荒れ狂いました。見ていて色に溺れる感覚とはまさにこのことかもしれません。
なおちらし表紙に掲げられた「ねえ、池内さん、人間の手法には限界が無いんですよ。」の文言は、かの諏訪敦がレントゲン主宰の池内務に投げかけた言葉だそうです。元々レントゲンでは非常に作り込まれた作品を目にする機会が多いのですが、点数こそ決して多くないものの、今回はそれを厳選されたパッケージで伺い知れる内容だと言えるかもしれません。
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ちなみにレントゲンはアートフェアに出品がありません。比較はナンセンスですが、言うまでもなく展示の完成度はこちらに軍配が挙ります。
僅か6日間限定のグループショーです。会期中無休にて7日まで開催されています。なお入場は無料でした。
注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
「巧術 KOH-JUTSU展」
4/2-4/7
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スパイラルガーデンで開催中の「巧術 KOH-JUTSU展」へ行ってきました。
出品作家は以下の通りです。レントゲンや小柳の個展などでも印象に深い12名の作家が登場しました。
青木克世、あるがせいじ、内海聖史、カンノサカン、桑島秀樹、佐藤好彦、須田悦弘、諏訪敦、高田安規子・政子、中村哲也、満田晴穂、山本タカト
元来、技巧とは、芸術上の表現における技術的な工夫を指す用語ですが、ここでは既存の美術観への批判をこめた上で、それを「巧術」という新たなキーワードに置き換えています。確かに字面より想像されるように、細やかさや器用さという点において、他に類を見ない作品が紹介されていました。
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あるがせいじ「1147」
まず入口左の枠の中にすっぽりと収まるのはあるがせいじの新作です。緻密に彫り込まれたそのテクスチャには毎度ながら驚かされるばかりですが、今回はこのサイズにも圧倒されました。まるでビルの窓の断面のようです。
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青木且世「鏡よ鏡」
続いてアニュアル展にも出品のあった青木且世がセラミック製のオブジェを展開します。表面の生クリームのような独特な質感も必見ではないでしょうか。
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桑島秀樹「Horizontal 001」
2008年の個展で至極感銘させられた桑島秀樹のガラスの迷宮も登場しました。デカンタやグラスをくみ上げて出来たイメージは、織りなす光の陰影と相まって、見る者をその無限回廊へと引込んで行きます。
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細部の細部までじっくりとご覧下さい。眩いばかりの後光が放たれていました。
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入口左に目を向けると、カンノサカン「HUNCH」シリーズと中村哲也の「紫電プロトタイプ」がその尖った作風で火花を散らします。
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カンノサカン「HUNCH」(一部)
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メインの吹き抜けに鎮座するするのは内海聖史の大作と、佐藤好彦「Model」シリーズなどでした。佐藤の作品は六本木の旧レントゲンで見たことを思い出します。ホワイトキューブにモノリスのように立つスピーカーの迫力は満点でした。
さて個々で注目したいのが、上の写真の左、床面に置かれた白い板状の作品です。
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高田安規子・政子「Mt.Fuji」
近寄ってみると驚くべきことに等高線が出現しました。何とこれらは全て紙をカッターなどで切り抜いて出来ています。手作業でしか制作出来ないとは理解しながらも、実物を見ても到底人の手のみで完成させられたとは思えません。これこそ「巧術」ではないでしょうか。
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内海聖史「色彩に入る」
もう一度掲載します。やはりぐっと心に響くのは内海の「色彩に入る」でした。資生堂のアートエッグで一目惚れして以来、私の中で彼の最高傑作だと勝手に位置づけていますが、この広いスパイラルで見ると、粒の運動がさらなる広がりもって拡散していくようなイメージも与えられます。青い色彩は雲のように広がり、時に余白を巻き込んで嵐のように荒れ狂いました。見ていて色に溺れる感覚とはまさにこのことかもしれません。
なおちらし表紙に掲げられた「ねえ、池内さん、人間の手法には限界が無いんですよ。」の文言は、かの諏訪敦がレントゲン主宰の池内務に投げかけた言葉だそうです。元々レントゲンでは非常に作り込まれた作品を目にする機会が多いのですが、点数こそ決して多くないものの、今回はそれを厳選されたパッケージで伺い知れる内容だと言えるかもしれません。
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ちなみにレントゲンはアートフェアに出品がありません。比較はナンセンスですが、言うまでもなく展示の完成度はこちらに軍配が挙ります。
僅か6日間限定のグループショーです。会期中無休にて7日まで開催されています。なお入場は無料でした。
注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
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