「和ガラス 粋なうつわ、遊びのかたち」 サントリー美術館

サントリー美術館港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階)
「和ガラス 粋なうつわ、遊びのかたち」
3/27-5/23



サントリー美術館で開催中の「和ガラス 粋なうつわ、遊びのかたち」へ行ってきました。

切子展の例を挙げるまでもなく、この手の展示は同美術館の得意とするところですが、今回も期待を裏切ることなく、まさに和ガラスの魅力を余すことなく伝えています。会場には、主に江戸時代より国内で生産されたガラスの品々、全150点が、それこそ眩いばかりの輝きを放って紹介されていました。その展示の光景そのものが鑑賞の対象になり得る美しさとも言えるかもしれません。



惹かれた作品をあげるとキリがありませんが、今回、私がとりわけ印象に残ったのがいわゆるビーズ飾りの品々です。今でもビーズは例えばストラップ云々に使われるなど、非常に身近な一種の装身具でもありますが、江戸時代もまるで小さな宝石のようなガラスのビーズが、硯箱や櫛などの至るところに素材として用いられていました。上に画像を挙げたこの硯箱の紋様もまたビーズ製です。他にも灯籠や金魚玉などにビーズが散りばめられていました。

またもう一つ、印象に深いのが、酒を入れたちろりや徳利などです。ちらし表紙にも藍色ちろりが掲載されていますが、マーブル模様を描く「黄緑縞文徳利」など、一度はこうした器でお酒を楽しみたいと思うような作品ばかりでした。



さらに単に和ガラスだけでなく、それを主題に取り入れた浮世絵や屏風が出ているのもまた嬉しいところです。歌麿の「婦人職人分類 びいどろ師」や国芳画などを見ていると、こうしたガラスが人々の身近な場所にあったということが良く分かりました。

展示のハイライトは吹き抜けスペースに掲げられた全500個による江戸風鈴のインスタレーションに他なりません。格子から差し込む陽の光が風鈴を瞬かせ、また時折鳴る音が涼の気配を先取りしていました。

照明によって見事に演出されたガラスの影にも是非注目して下さい。



なおごく一部の作品に展示替えがあります。(前期:3/27-4/26、後期:4/28-5/23。詳細は出品リストへ。)

まさに眼福の展覧会でした。5月23日まで開催されています。
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