「寺崎百合子 音楽」 ギャラリー小柳

ギャラリー小柳中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階)
「寺崎百合子 音楽」
4/9-5/29



伝えられてきた楽器の記憶をモノクロームの世界にて呼び起こします。ギャラリー小柳で開催中の「寺崎百合子 音楽」へ行ってきました。

展示の冒頭、正面に並べられた鉛筆の小さな欠片が全てを物語ります。バイオリンの他、パイプオルガンの管が鈍く光るホールなどを描いた素材は、言うまでもなく黒鉛筆そのものです。もちろんそれらは精緻でありながらも、例えばモノクロ写真を改めて描き起こしたの如く朧げに浮かび上がっていました。またモチーフに使われた楽器は主に古楽器とのことでしたが、作品から楽器が受け継いできた伝統などを想起させるような面があるのも魅力の一つではないでしょうか。楽器は音を鳴らすというよりも、かつて奏でてきた音を大切に包み込むようにして丁寧に据え置かれていました。

「英国オックスフォードで学ぶということ/小川百合/講談社」

ところで寺崎百合子と聞いても馴染みの薄い方が多いかもしれません。実は私もこの展示に接するまで存じ上げませんでしたが、作家の寺崎は2007年まで「小川百合」として作品を発表し続け、08年よりこの本名にて活動をはじめたそうです。とすると俄然、かつて目黒区美で開催された「線の迷宮」の記憶が蘇ってはこないでしょうか。鉛筆にて図書館などを表したモノクロームの空間は実に寡黙でした。

5月29日までの開催です。これはおすすめします。
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