三菱一号館美術館がオープン

本日開館を迎えた三菱一号館美術館へ行ってきました。



開催中の「マネとモダンパリ」展の感想については後日にまわすとして、今回は美術館の印象について少しまとめてみます。

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しばらく前から建物自体は完成していたので、れんが造りの外観をご存知の方も多いかもしれません。この建物は、1894年にジョサイア・コンドルによって設計された日本初の洋風事務所建築を復元したもので、外部内部とも当時の設計図に準じているのはもちろんのこと、一部については当時の部材を再利用して建てられています。さすがに完成したばかりということもあってか、まだ街に馴染むまでには至りませんが、どこか似たような高層ビルの並ぶ丸の内界隈で異彩を放っていたのは事実でした。

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一帯は「丸の内ブリックスクエア」と名付けられたオフォス、商業施設を含む再開発エリアとなっていましたが、その中核となるのがこの三菱一号館美術館です。内部には樹木や花も植えられた中庭もあります。れんがとガラスを連続させたような外観もまた特徴的でした。

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美術館内部はかつての事務所建築ということで、ともかくおおよそ最近の美術館らしからぬ小部屋で仕切られています。ちょうど庭園美術館や、かつてのステーションギャラリーの展示室に似ているかもしれません。

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私自身、そのこじんまりとした外観に比べて、中は意外と広いように思えましたが、3階と2階の2フロアに分かれ、また10以上の部屋の続く館内を歩いていると、まるで迷路の中を彷徨っているような気分になりました。ひょっとすると展示泣かせのスペースかもしれません。また混雑すると多少の圧迫感を受けるのではないでしょうか。これも庭園美と同じでした。

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館内で目を引くのは充実したミュージアムショップと、当時の銀行窓口の吹き抜けフロアをそのまま再現したというカフェスペースです。こちらは美術館オープン前から営業していたこともあり、早くも丸の内エリアの人気スポットとなっていたようでした。



立地は申し分ありません。東京駅の丸の内地下南口からは地下通路で直結し、また千代田線の二重橋前駅からも明治安田生命のビルを経由し、同じく地下通路で繋がっていました。(地下通路周辺マップ



なお三菱一号館美術館の概要、理念については、館長の高橋明也氏のメッセージが明快です。

美術館概要 - 館長メッセージ@三菱一号館美術館

テーマには「近代都市と美術」が据えられています。この場所が記憶してきた歴史を踏まえたものでした。

またマネとモダンパリ展以降、来年11月までの展示スケジュールも告知されています。



「開館記念展〈2〉 三菱が夢見た美術館―岩崎家と三菱ゆかりのコレクション」 
 会期:2010年8月24日(火)~11月3日(水・祝)
「レンバッハハウス・ミュンヘン市立美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士展」
 会期:2010年11月23日(火・祝)~2011年2月6日(日)
「王妃の画家ヴィジェ=ルブラン マリー・アントワネットと18世紀の女性画家たち」(仮称)
 会期:2011年3月~5月
「ジャポニスムの立役者たち―欧米で愛された陶磁器・銀器・装飾品」(仮称)
 会期:2011年6月~8月
「トゥールーズ=ロートレック モーリス・ジョワイヤン・コレクション」(仮称)
 会期:2011年9月~11月

私としては好きなカンディンスキーの他、同美術館の姉妹館であるフランスのロートレック美術館のコレクションが出品されるという、「トゥールーズ=ロートレック モーリス・ジョワイヤン・コレクション」(仮称)に注目したいと思います。また主に静嘉堂文庫での展示が多かった岩崎コレクションの日本美術が、ここ丸の内でも楽しめる機会が増えるかもしれません。



また最後に一つ、是非とも挙げておきたいのが開館時間です。都心立地でも夕方過ぎには閉館してしまう美術館が多い中で、ここ三菱一号館美術館は、水曜日から金曜日まで、夜の8時まで開館しています。(月曜休館。他は18時まで。)場所柄、お仕事帰りという方も多いかもしれません。これは嬉しい配慮でした。



マネとモダンパリ展は、マネの魅力に改めて虜にされるような展覧会でした。近日中に感想をまとめます。

*の画像については美術館のリリースを転載しています。
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